理由2・KDDIの会員基盤を取り込んだPontaポイントの巻き返し
KDDIとauじぶん銀行が打ち出した、最大年0.1%、住宅ローン金利を引き下げる「au金利優遇割(auモバイル優遇割+じぶんでんき割)」は、最大35年、少なくとも6~20年間、MNPを利用した他の通信事業者への乗り換えを阻む効果が期待できる。これほどの強力な囲い込みはなく、楽天ポイント・dポイントに比べ、利用シーンが限られていた、共通ポイントの一つ、Pontaポイントの巻き返しのきっかけになりそうだ。
なお、Pontaカード(公式)アプリは12月21日からKDDIのスマホ決済サービス「au PAY(コード支払い)」の決済機能を追加し、一つのアプリでポイントカード提示・決済が可能になっている。
理由3・前払い決済の浸透
ここ1年、飲食店のテイクアウトオーダーを中心に、スマホやPCからの注文と同時に決済する「モバイルオーダー&ペイサービス」を採用する企業が増えている。こうした「前払い」とは対照的に、メルペイをはじめ数社から、1カ月間に購入した商品の代金を翌月にまとめて支払う「後払い」サービスも登場している。
会社員の給与は、当月1カ月間の実働日に対し、1~2カ月遅れて支給するケースもあり、家賃は前払い、生活費は即時決済(その場で支払い)が多いため、日給相当額の即時支給や週ごとの前払いを求める声が出ていた。この課題を解消するための一つの案が、今は現金・銀行振込しか認められていない「給与のデジタルマネー支払い」だ。デジタルマネーとは、電子マネー・スマホ決済サービスのチャージ残高、ポイントなどを指す。
ポイントで投資信託・株式の購入、それらの売却によるポイントの現金化も可能な今、会社員にとってデジタルマネー支払い導入によるデメリットは少なく、今年の年末、遅くとも、あと2年後あたりには、「デジタル円」とも呼ばれる中央銀行デジタル通貨(CBDC)やデジタルマネーでの従業員への給与・賞与の支給を認める法案のたたき台が出ていると期待したい。ポイントで囲い込みを図ろうとする各社の取り組みのおかげで、「現金よりポイントが便利」と感じる下地は整っている。
文・嵯峨野 芙美(BCN)/提供元・BCN+R
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