(本記事は、山口謠司氏の著書『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

話す口語から、書く文語へ

文章の表現には、口語と文語の2種類があります。

口語とは、日常生活の会話で用いられる言葉遣いです。文語とは、文章を書くときに使われる言葉です。

口語は、会話の中で使用されるので柔らかい表現になり、文語は、思考を伝えるための文章なので硬い雰囲気になります。

コミュニケーションでは少しくだけた表現を使うので、私たちは文章でも口語を使ってしまいがちです。

また、最近ではSNSを誰もが使っており、身近になっています。SNSでは硬い表現をする必要がないので、口語を文章にすることが普通になってきているのです。

意味が通じるなら、口語と文語を明確に使い分ける必要はなくなってきているのかもしれません。

ただ、口語を文語にすることで、文章を短くすることができます。

ビジネスシーンでは、スマートな表現が好まれる傾向にあるので、知っておいて損はないテクニックです。

●コツは「社長に話しかけるように」

「ちょっと」→「少し」

「かなり多い人数」→「膨大な人数」

このように、会話で使う言葉を文語にすることで、文章が短くなることがあります。

同僚に使っている言葉を、社長に対して使うときにはどうするかな、というような意識を持つといいでしょう。

「今後、人間はAIに仕事を奪われるということが言われている。」

「今後、人間はAIに仕事を奪われると語られている。」

「ということが言われる」などは使いがちですが、文語に修正可能です。

自分が書いた文章を見直してみると、案外言い換えができる部分を見つけられると思います。

「〇〇して、〇〇して」「〇〇に行って、〇〇に寄って」などの、似た表現の繰り返しは、会話のときには違和感がありません。しかし、文章にすると、ダラダラと文章が続きますので、「〇〇した。〇〇した。」「〇〇に行った。〇〇に寄った。」と句点で切ることができます。