コラム レジオネラリスク
●レジオネラ菌とは
レジオネラ菌は自然界に広く生息している菌で、36℃前後が繁殖の最適温度で、給水、給湯設備等で繁殖すると言われています。そして、循環風呂の給湯設備の消毒などが不十分だと、レジオネラ菌が大量発生して、それを含んだ微少水滴(エアゾール)が抵抗力の弱い人の喉や肺に取り込まれて感染することになります。感染すると発熱、呼吸困難などを伴い、最悪の場合肺炎等で死亡することがあるとのことです。
●レジオネラ事件は人災
ここで重要なのは、源泉自体がレジオネラ菌に汚染されていたのではなく、循環風呂の循環装置の維持管理及び衛生管理が不十分だったための人災だったということです。
しかし、行政は、人の死亡という重大な結果に対する市民からの批判を恐れて、レジオネラ症の予防の手段として、塩素殺菌の実施という過剰かつ単純な対応をしてしまいました。しかし、いくら塩素殺菌を実施しても、貯湯槽や循環装置のバイオフィルムを除去しない限り、レジオネラ症のリスクは払拭できないことを理解すべきです。
その後の状況をみると、行政がいくら塩素殺菌を指導しても循環風呂でレジオネラ感染で死亡する人は後を絶ちません。
●源泉かけ流し温泉におけるレジオネラリスク
源泉かけ流し温泉でも、浴槽内の温泉や浴槽注入前の貯湯槽等の源泉において一定のレジオネラ菌が存在することもありますが、その濃度は低いのです。源泉かけ流し温泉では、源泉の注入量が少ないとか、お湯抜きと清掃を毎日していないという劣悪な状況でない限り、レジオネラ症の発生リスクは極めて少ないのです。
小林裕彦(こばやし・やすひこ)
小林裕彦法律事務所代表弁護士。1960年大阪市生まれ。84年一橋大学法学部卒業後、労働省(現厚生労働省)入省。89年司法試験合格、92年弁護士登録。2005年岡山弁護士会副会長。19年(平成31年度)岡山弁護士会会長。11年から14年まで政府地方制度調査会委員(第30次、31次)。14年から岡山県自然環境保全審議会委員(温泉部会)。現在は岡山市北区弓之町に小林裕彦法律事務所(現在勤務弁護士は9人)を構える。企業法務、訴訟関係業務、行政関係業務、事業承継、事業再生、M&A、経営法務リスクマネジメント、地方自治体包括外部監査業務などを主に取り扱う。著書に『これで安心!! 中小企業のための経営法務リスクマネジメント』等。
提供元・ZUU online
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