NYダウが30,000ドルに到達、日経平均は3万円に届くのでは、という論調が各種メディアに飛び交っています。
30,000ドルはキリの良いラウンドナンバーということもあり、米国株も日本株も注目を集めています。
右肩あがりのNYダウをはじめとした株価指数を見ていると、「今年はここまで上がったのだから、来年も同じように上がるだろう」と推測する投資家が沢山集まってくるのも無理はありません。
GAFAのような巨大IT企業や、ShopifyやZOOMのような成長銘柄の伸びを見て、2021年は米国株に思いきって投資をしようと考えている人も多いのではないでしょうか。
特に成長性の高い銘柄が注目されているので、本記事ではグロース投資と心構えについて解説します。
グロース投資とは?
グロース投資とは、企業の成長性に着目した投資方法です。
市場の平均よりも成長性の高い銘柄を投資対象にして、ポートフォリオを組んでいきます。
米国ならピーターリンチのPEGレシオに着目した投資法や、ウィリアム・オニールのCAN-SLIM投資法が、成長株投資の代表例として個人投資家の間でも有名です。
特にウィリアム・オニールの成長株投資法は、日本流でも「新高値投資法」としてアレンジされて紹介されており、人気のある投資法のひとつとしてよく知られています。
損益決算書のEPS(一株あたり利益)の通年、四半期が前年比で+20%~25%以上推移していること、市場予想のコンセンサスを上回ること、チャートが保合いから右肩あがりで上昇していることなどに着目している投資家も多いようです。
バリュー投資とは異なり、PERやPBRなどの割安かどうかをみる際に使われる指標から見ると、割高な銘柄を買うことも少なくありません。
うまく上昇トレンドに乗り、高値で売り抜けることができれば、大きな利益を得られます。
グロース投資は実はチキンレース
グロース投資の中でも順張りでトレンドにのるタイプの投資法は、有り体に言ってしまうとチキンレースのような難しさがあります。
例えば、買いは「カップ・ウィズ・ハンドル」というブレイクアウトのポイントが狙われるケースが多いです。
しかし、売るタイミングはまちまちです。
ファンダメンタルズの悪化まで待っていては、株価は未来を織りこむので、気づいた頃には大きく値下がりしてしまいます。
一方、テクニカル分析で決めたシグナルにしたがって妥協して売るにしても、決めたルール次第で売るのが早くなりすぎたり遅くなりすぎたりと、これといって絶対的な正解もありません。
成長株投資は、ちょうど良いところでうまくポジションを手放して利益確定するまでが難しいのです。
NYダウが30,000ドルを一時的にでも突破した2020年下旬の市況は高すぎるのか、安すぎるのかは後から振り返ってみて、はじめてわかることです。
「天井3日、底100日」という相場の格言の通り、天井付近でうまく株を売るのは簡単なことではありません。
グロース銘柄は高値圏から落ちるときは大きく落ちる
グロース投資は、PERやPBRをほとんど無視して成長性に着目して投資します。
そのため、グロース投資のアプローチで選ばれる銘柄は大抵割高です。
市場から成長株として十分な期待ができない、または決算で失望されることになると、割高だった分の調整が厳しい展開になりがちです。
しかも下げるときは早く下げてしまうので、一時期は大きく伸びた含み益も最終的には全然残らなかったという苦い経験をする投資家も少なくないのではないでしょうか。
30,000ドルにタッチしたからこそ慎重な対応を
「NYダウ30,000ドル」、「日経平均3万円」は、見出しとしてはとても景気が良さそうに見えます。
しかし振り返ってみると、メディアが好景気、高値と騒ぎ立てていた頃は天井だったという事例もあります。
ITバブル、新興国バブル、仮想通貨バブルなど、相場の高値圏こそ慎重にならなければいけない時期と言えるかもしれません。
迷いをなくすなら、自分で決めたルールに従って機械的な取引を心がけたり、運用方針を決めておくと、迷いなく納得のいく結果になるのではないでしょうか。
グロース投資は政策金利が上がると厳しい展開に
90年代のドットコムバブル崩壊の引き金になったのは利上げでした。
2020年の市場は、GAFAを中心としたプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業が相場を牽引しました。
S&P500からGAFAとマイクロソフトの5つを除外したS&P495を見ると、米国市場全体が盛り上がっている訳ではないのではという見解もあります。
そんなIT関連銘柄が牽引した相場も、90年代のドットコムバブルと同じように、長期金利の上昇で株は大きく売られてしまったりする可能性もあります。
2020年は米国のFRBは緊急利下げ、低金利の政策を続けています。
その揺れ戻しで利上げが行われれば、ドットコムバブルが崩壊したように、GAFAやリモート関連のIT企業、SaaS企業が牽引した2020年の「ITバブル」崩壊の引き金にもなりかねません。
2021年は実はグロース株にとって厳しい可能性
2021年は、2020年に市場の期待に応えた成長銘柄がさらなる期待を超えなければいけません。
特にコロナウイルス感染拡大が追い風になったような銘柄は、2021年の期待も高くなり、市場コンセンサスを上回るハードルも上がります。
グロース株は常に期待に応え続けなければ大きく売られてしまう危険と隣り合わせです。
さらに米国の政策金利が上がれば株価にとってマイナスです。
暗号通貨・ゴールドの動きにも注意
暗号通貨のビットコインが、2020年末に200万円に迫る上昇を続けています。
また、ゴールド(金)は下げてはいますが、米国株全体の上値が重くなれば、再び金に資金が回ってくることも考えられます。
成長株投資は乗り続けられるところまで乗り続け、一方で売るタイミングや条件も事前に決めておく方が慌てずにすみます。
米国の金利を警戒しながら、ビットコインやゴールドといった株とは違うアセットに資金が流れていないか日々確認する慎重さも今後必要になるのではないでしょうか。
文・田守正彦/提供元・The Motley Fool Japan
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