モトリーフール米国本社、2020年11月22日投稿記事より

製造業の巨人スリーエム(NYSE:MMM)、暖房・換気・空調(HVAC)設備メーカーのキャリア・グローバル(NYSE:CARR)、電動工具大手のスタンレー・ブラック&デッカー(NYSE:SWK)の3社には共通点が2つあります。

1つは25年以上継続して増配してきた配当貴族であること、2つ目は、バリュエーションが割安であるとともに今後投資家を驚かすような上振れの可能性がある点です。

株価フリーキャッシュフロー(FCF)倍率も割安で、経営陣による大幅なコスト削減と事業再編によって、長期的な成長も見込めます。

FCFは実際に1年間に創出された現金を表し、有利子負債の返済、自社株買いあるいは配当に使用できます。

株価FCF倍率が20倍前後であれば、企業が時価総額の5%に相当するFCFを上げていることを示し、少なくとも理論的には5%の配当利回りが期待できます。

3社はいずれも今後数年間にFCFが成長すると予想され、バリュエーションは魅力的です。

なぜ今後利益およびFCFの向上が見込め、上振れの可能性があるのかを見てみましょう。

スタンレー・ブラック&デッカー

2020年の外出規制により、スタンレー・ブラック&デッカーのDIY電動工具販売は恩恵を受けました。

電動工具の需要が急増し、eコマースで先行していることが同社を好位置につかせています。

加えて、2017年にシアーズから買収した工具の「クラフトマンDIY」ブランドも予想以上の成果につながっています。

今後DIY工具の伸び率が鈍化する可能性がある一方、2021年には同社の産業用電動工具が回復するはずです。

また新型コロナウィルスの感染拡大で、衛生的で安全なビルが見直されたことから、同社のセキュリティ事業は長期的な成長の余地があります。

経営陣はクラフトマンと、傘下の芝刈り機や園芸用機器のMTD・プロダクツ社の成長持続も予想しています。

一方コスト削減に加え、関税、コモディティー価格、為替変動などの外部的なマイナス要因が将来的には解消する可能性があることから、利益率は上昇する見通しです。

これら外部的なマイナス要因の影響は、過去3年間の合計が10億ドルに達していました。

さらに、ドン・アラン最高財務責任者(CFO)は直近の決算コンファレンスコールで、「今後3年間のコスト削減余地は3~5億ドルある」としています。

これらを合わせて考えると、同社の2020年利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)は、25億ドル前後になりそうです。

キャリア・グローバル

キャリア・グローバルは、旧ユナイテッド・テクノロジーズの1事業部門であったことによって配当貴族の地位を維持しています。

分割後の3社(他の2社はオーチス・エレベーターとレイセオン・テクノロジーズ)のうち、同社が最も多くを得ました。

経営陣は、長い間期待されてきたHVAC業界再編に自由に取り組むことができるだけでなく、2022年まで毎年6~7億ドルのコスト削減も計画しています。

アナリストのコンセンサス予想によれば、売上高営業利益率は2020年の13.1%から2022年には15%に上昇する見通しです。

コスト削減だけでなく、HVAC市場自体の成長が寄与します。

気候変動、進む都市化、そしてエマージング市場で増加する中産階級がHVAC設備の長期的な需要をけん引します。

一方、同社のような高性能HVAC機器メーカーは、デジタル技術や環境対応設備で優位にあります。

清潔で衛生的なビル、特にオフィスの換気でも注目されており、今後の長期的な成長が見込まれています。

スリーエム

スリーエムが生み出す継続的なFCFによって、マイク・ローマン最高経営責任者(CEO)は、株主価値を増大させる事業再編を続けることができるでしょう。

過去数年間は利益が予想を下回る状況が続き、利益率低下圧力にも直面してきました。

ローマンCEOは、5つある事業セグメントを4つに減らすことで同社の経営を再編し、大規模に経営資源を投入、国別ではなくグローバルな事業グループの運営に取り組んでいます。

一方ヘルスケア事業で、情報システムと創傷治療の2件の大型買収を実施し、薬剤デリバリーや食品安全性検査などの低採算事業の縮小を続けています。

執筆時点の配当利回りは、バリュー株投資に適した3.4%です。

売上成長と利益率改善を考慮すれば、リスク・リターンの観点からスリーエムへの投資は理にかなっています。

文・モトリーフール編集部/提供元・The Motley Fool Japan

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