モトリーフール米国本社、2020年11月26日投稿記事より

多くの企業が新型コロナウイルスによる不確実性に直面する中、バイ・アンド・ホールド戦略での投資をためらう投資家もいるかもしれません。

しかし、このパンデミックがどれほど深刻化したとしても、一部の銘柄は将来的にアウトパフォームするはずです。

中でも検討に値する銘柄が、シスコ・システムズ(NASDAQ:CSCO)、IBM(NYSE:IBM)、チェック・ポイント・ソフトウェア(NASDAQ:CHKP)です。

以下、その理由を説明します。

シスコ:隣接市場への進出が奏功しつつある

ネットワーク通信量が長期にわたり増加傾向にあることは、シスコの中核的なネットワーキング事業への需要を今後数年にわたり下支えするはずです。

その一方でアリスタ・ネットワークスなどの革新的なクラウド・ネットワーキング・スペシャリストとの競争が激化していることもあり、同社が11月初めに発表した直近四半期の売上高は前年同期比9%減の119億ドルと4四半期連続で減収となりました。

しかしシスコは進化し続けています。

ここ数年はサイバーセキュリティや通信などの隣接分野へ事業を拡大しています。

また、サブスクリプション・ベースのサービスとしてのソフトウェア(SaaS)ポートフォリオへの移行を進めており、柔軟性の高いクラウドベースのサービスとの親和性を維持しています。

こうした取り組みは成功しつつあります。

例えば、前回の四半期決算発表で経営陣は、クラウド・サイバーセキュリティ・ソリューションのDuoとUmbrellaの前年同期からの増収率が2桁台(%)となったと強調しました。

その貢献もあり、直近四半期の非GAAP(調整後)営業利益は前年同期比12%減の39億ドルと堅調でした。

半面、最近の低調な業績により予想株価収益率(PER)は13.5倍にすぎず(本稿執筆時点)、投資家に魅力的なバイ・アンド・ホールドの機会を提供しています。

IBM:クラウド企業への変身は成功しつつある IBMの既存の事業は厳しい現実に直面しており、年間売上高は2015年の817億ドルから直近12ヵ月間は750億ドルへ減少しています。

しかし同社は事業ポートフォリオの軸足をハイブリッドクラウドに移すための抜本的な措置に取り組んでいます。

ハイブリッドクラウドはパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたものであり、市場規模は1兆ドルと推定されています。

IBMは2019年にクラウド技術スペシャリストのレッド・ハットを340億ドルで買収しました。

先月には、一部のコンサルティング事業を2021年末までに分社化すると発表しました。

最近では、SAPのコンサルティング・パートナーである TruQua(トゥルクア) とアプリケーション監視スペシャリストのインスタナを買収し、ハイブリッドクラウド分野での成長力を強化しました。

その結果、IBMのクラウドへのエクスポージャーは大幅に高まっています。

クラウド事業の2020年第3四半期の売上高は前年同期比19%増の60億ドルとなり、売上高全体の34%を占めました。2015年にはこの割合はわずか12%でした。

ただし、以上のような企業買収により、前四半期末時点の純負債は496億ドルと依然として高い水準にあります。

とはいえ、過去12ヵ月間で108億ドルのフリーキャッシュフローを創出した同社の高い収益力が、投資機会を阻害することなく債務を減らすのに寄与するはずです。

以上のように、IBMは広大なハイブリッドクラウド市場への転換に成功すると考えられます。

しかも、同社の既存事業と多額の債務負担に関連する不確実性によって予想PERは10.8倍にとどまっています(本稿執筆時点)。

つまり、長期投資家が非常に割安な価格で株式を購入する機会が開かれています。

チェック・ポイント:包括的なサイバーセキュリティ・ソリューションにより高収益企業へ進化

サイバーセキュリティ会社のチェック・ポイントは、ハードウェアを基本とした既存の事業ポートフォリオをクラウドソリューションへ刷新するという、シスコやIBMと似通った課題に取り組んでいます。

そのため、同社の増収率は過去数四半期にわたり1桁台前半(%)と低調な水準にとどまっていますが、多くのサイバーセキュリティ会社とは対照的に営業費用が少ないため、高水準の利益率を維持してきました。

前四半期の非GAAP営業利益は2億6,500万ドルで、前年同期の2億4,600万ドルから増加し、売上高は5億900万ドル、営業利益率は52%となりました。

こうした高い収益性と、技術力の拡充を目的に、比較的規模の小さいニッチ企業を買収する慎重なM&A戦略のおかげで、同社の前四半期末時点の現金および現金等価物は16億ドルに達しています。

調査会社グランド・ビュー・リサーチによると、サイバーセキュリティ市場は2027年までに年平均10%で成長する見通しです。

チェック・ポイントは、クラウドとオンプレミスの両方のサイバーセキュリティをカバーする包括的なポートフォリオにより市場シェアを拡大する可能性があります。

一方、予想PERは17.3倍で(執筆時点)、長期投資家にとって魅力的な買い場となっています。

文・モトリーフール編集部/提供元・The Motley Fool Japan

【関連記事】
仕事のストレス解消方法ランキング1位は?2位は美食、3位は旅行……
日本の証券会社ランキングTOP10 規模がわかる売上高1位は?
人気ゴールドカードのおすすめ比較ランキングTOP10!
つみたてNISA(積立NISA)の口座はどこで開設する?
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング