- 金融機関の営業がおすすめする投資信託や金融商品を買ったら損をする
- 店舗型の証券会社や金融機関は手数料が高いから、ネット証券で手数料を節約しよう
最適な投資はネット証券でインデックスを積み立てることだ
このような内容を投資関連本やメディアを読むと、よく目にするのではないでしょうか。
しかし誰かに相談しながら投資をしたい、窓口で相談しながら手数料もできるだけ抑えたい、インデックス投資以外の運用を試したいという投資家も多いのではないでしょうか。
ネット証券は便利で手数料も低い反面、操作が分かりづらいと感じている人もいるかもしれません。
従来の金融機関に相談しても都合の良い商品を売られそうだし、慣れないネット証券もよく分からないとなると、投資家にとって丁度良い選択肢がありませんでした。
そこで注目されているのがIFAです。
現在、金融リテールの世界ではコミッションからフィービジネスへという動きが見られます。
従来の店舗型の証券会社とネット証券には担えなかったことがIFAに期待されています。
金融リテールの世界は変わるのでしょうか。
コミッションとフィービジネスの違い
まずはコミッションとフィーの違いを確認しておきましょう。
- コミッション:取引手数料
フィー:顧客の資産高に応じて、パーセントで手数料をもらう
基本的にはコミッションが従来の金融機関の収入の源泉でした。
一方でフィーは預かり資産に応じて収益を得る仕組みです。
コミッションの場合は、顧客が損をしても得をしても売買をして貰えば金融機関の収入になります。
一方でフィーの場合は、顧客が儲かれば儲かるほどIFAの利益が伸びる仕組みになっています。
勤め先の方を向いて働く従来の金融リテール業界
よく金融のリテールは、コミッションを稼ぐために無理な回転売買をさせたり、自らの営業成績を顧客の利益よりも優先させたりしてしまうのではという声がありました。
また営業する側が所属する会社のノルマに追われてしまう構造も、利益相反になる仕組みを作ってしまう面もあったのではないでしょうか。
一方で金融機関のリテール経験者の中には、ノルマにとらわれずに顧客の方を向いて、顧客と共に成長していける関係の方が望ましいと感じている人もいます。
新しい働き方としても注目されるIFA
IFAは独立ファイナンシャルアドバイザーのことです。
金融機関(証券会社)と業務委託契約を結んで、証券会社と投資家を仲介する仕事です。
業務委託契約を結んで仕事をすることから、ノルマに縛られずに金融商品を紹介したり、資産運用の相談に乗れたりすることから、金融機関出身の人からも新しい働き方として注目されています。
某大手証券会社の資料によると、証券業界出身が約50%、銀行が約15%、保険が8%程度と金融機関出身の人がIFAとして活躍しているケースが多いようです。
一方で金融以外の業界からも、約20 %以上がIFAとして活躍しているというデータもあります。
金融業界のフリーランスといったところかもしれません。
ただ実際はIFAとして証券会社と業務委託を個人でするのではなく、金融商品仲介業者とIFAとして業務委託契約を結び仕事をするケースが主流です。
個人でIFAとして証券会社と直接契約を結ぶのではなく、証券会社と契約を結んでいる金融商品紹介事業者にIFAとして登録して活動するのが一般的です。
つまり自分で法人化しなければ、どこか既存のIFA事業者と業務委託をするか、就職するという流れになります。
証券会社がIFA事業者と契約する際に個人は受け付けていません。
例えば証券外務員1種資格の保有者が2名以上いる法人のみと契約するなどの条件があります。
したがって、個人でIFAとして活動していきたい人は、証券会社と契約を結んでいる金融商品仲介業者にIFAとして外務員登録して活動する形になります。
大手ネット証券SBI、楽天が参入するIFAビジネス
大手ネット証券のSBI証券、楽天証券もIFA事業を展開しています。
ただ正確には「IFAビジネスサポート事業」と言った方が分かりやすいかもしれません。
SBIや楽天証券が独立系のIFA事業を営む法人に対して、自社のもつ金融商品のラインナップを販売できるように契約を結んだり、セミナーや営業などの支援をしたりするのです。
言うなればSBIや楽天はIFAに金融商品を卸売するような役割、IFAは現場の顧客と実際にやりとりをして、資産運用を提案し、SBIや楽天のラインナップから金融商品を提案する小売店のような役割と考えると、関係性もわかりやすいのではないでしょうか。
SBIはIPOに強い?楽天証券ではIFA口座の手数料がネット証券の手数料水準に
IFA事業者は多くの場合、複数の証券会社と契約を結んでいます。
IFA業者が提携先にSBIとも楽天とも提携しているケースも珍しくありません。
IFAは顧客のニーズに合わせて「卸売」のSBIや楽天からおすすめの金融商品をピックアップして、顧客に提案します。
例えば、SBIはIPOに強い、楽天は一定の基準を満たすとIFA口座でもネット証券並の手数料で取引が提供できるといった個性があります。
IFAに相談しながら、慣れないネット証券の画面を操作せずにIPOに申し込みができ、ネット証券取引水準の手数料で取引できるなら、IFAを通して投資をしたいと考える投資家も多いのではないでしょうか。
IFAの多様化が加速する残高手数料モデル(コミッションからフィーへ)
IFAもコミッションからフィー型のビジネスへの移行が進んでいます。
例えば、楽天証券ではIFA向けに預かり資産に応じて管理料(信託報酬)を徴収するタイプのコースをIFAに提供しています。
IFA側としても、預かり資産に応じて管理料が入るビジネスモデルの方が、いわゆるストック型のビジネスを展開することができ、新規顧客を開拓し続ける必要がありません。
顧客側もコミッションとフィー型を選べるようになれば、投資方法の選択肢も広がります。
モーニングスターも日本版IFAの拡大に注目
投資信託を中心とした情報サービスでお馴染みのモーニングスターも、IFA向けの情報端末やサービスの拡大に注目しています。
今後、モーニングスターのビジネスモデルで、IFA向けの情報端末の提供から、将来的に直接端末から金融商品の発注ができるようになるまでのロードマップがIRでは語られていました。
大手ネット証券やモーニングスターのように、金融リテール営業部隊をもたない企業が、IFA事業者とパートナーを結んでいくことで、新しい金融リテールの形がますます盛んになっていくかもしれません。
IFA事業者向けの説明会も参考になる
IFA事業をしている証券会社や、IFA事業者のセミナー・説明会に参加してみると、実際にIFAとして独立した人のインタビューが聞けることもあります。
サービスとして利用してみたい人も独立に興味がある人も、参加してみると雰囲気や実態がつかめます。
特に今はZOOMなどでオンライン参加も容易なため、その気になれば家にいながら気軽に参加できます。
今後は金融のリテールも新しい形が生まれ、サービスを受ける側も仕事をする側にも選択肢ができるのではないでしょうか。
文・田守正彦/提供元・The Motley Fool Japan
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