モトリーフール米国本社、2020年11月26日投稿記事より

モバイル性、高速インターネットアクセス、クラウドコンピューティング、データ解析の組み合わせにより、電話やビデオ通信を介した遠隔医療はコロナ禍をきっかけに身近になりました。

パンデミックによってその成長が加速したのは事実で、2021年に入ると前年比較で減速する可能性も十分にあります。

しかしながら、10年ほど使途のない余剰資金をお持ちであれば、テラドック(NYSE:TDOC)とアムウェル(NYSE:AMWL)の関連2銘柄は十分注目に値すると思われます。

誰もが認める遠隔医療のリーダー

2015年に新規株式公開(IPO)を行ったテラドックは、そこから数年で有名になりました。

しかし、世界で毎年何兆ドルものお金が使われる市場で、時価総額280億ドル程度であることを考えると、まだ成長の初期段階にあると言えるかもしれません。

順調に成長を続け、なおかつ賢明な買収を重ねたことで、同社は急速に拡大する遠隔医療の世界で米国でも世界的にもリーダーの座を固めています。

2020年第3四半期(7-9月期)は、同社のヘルスケア専門家へのバーチャル訪問件数が前年同期比3倍以上の280万件に達するなど、後続との差をさらに広げました。

売上高も同109%増の2億8,900万ドルに膨らんでいます(1月に買収したタッチ・ヘルス分を除いた内部成長ベースでは90%増)。

ただし、今年の業績はパンデミックによって通院が困難になったことで押し上げられており、その点には注意が必要です。

コロナ禍が終息すれば、対面診療への回帰が起きるリスクは確かに存在します。

しかし、長期的成長のポテンシャルは十分にあると思われます。

同社が提供するのは、遠隔プライマリーケア(基本診療)サービスだけではなく、高血圧症治療、皮膚科診療、メンタルへルス診療など、さまざまなサービスで実績を伸ばしています。

最近ではデジタル医療専業のリボンゴ・ヘルス(同じく3桁の成長を続け、もし買収されてなければ今回の注目銘柄の一つに入っていたはず)を買収し、糖尿病治療と体重管理の分野にも進出しました。

プライマリーケアや専門医へのアクセスを容易にし、利便性も提供する遠隔医療は、コロナ禍にかかわらず飛躍を続ける潜在性を秘めています。

世界全体で考えればポテンシャルは膨大で、同社はレースの初期段階でリードを確保した、まだこれからの小さな会社と言えるかもしれません。

早くも人気を落とした後発組

グーグルの親会社であるアルファベット(NASDAQ:GOOGL)(NASDAQ:GOOG)の出資を受けるアムウェルは、オンライン診療市場の後発組です。

今年9月にIPOを行ったばかりで、株価はそれから数週間で2倍以上に高騰しましたが、その後反転し、執筆時点ではIPO価格より20%高い程度の水準まで下がっています。

テラドックと同様にパンデミックが追い風となり、第3四半期(7-9月期)はバーチャル訪問数が前年同期の25万5,000件から141万件に急増したほか、売上高も80%増の6,260万ドルとなりました。

それにもかかわらず株価が下がった理由の一つとして、規模がテラドックより小さいだけに、増収率で上回ることを期待されていました。

まだ黒字化できていない点も懸念されており、今年1-9月のフリーキャッシュフローはマイナス9,410億ドルとなっています。

第3四半期の粗利益率は、パンデミックに関連してマージンの低い患者の訪問が増えたことによって前年同期の45.1%から32.7%に低下し、テラドックの過去12カ月間の粗利益率である62.7%を大きく下回っています。

しかし財務状態は非常に健全で、IPOの時点で現金等を11億ドル保有していた一方、有利子負債はありませんでした。

まだ時価総額は53億ドルと小規模で、テラドック同様、収益性は今後成長するにつれて改善していくことが見込まれます。

第3四半期末時点のアクティブな登録ケアプロバイダー数が1年前の6,000人から6万2,000人に急増したのも明るい材料です。

株価は短期的に乱高下するかもしれませんが、長期投資家には魅力的な銘柄と言えるかもしれません。

文・モトリーフール編集部/提供元・The Motley Fool Japan

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