来年、米国の大統領がトランプからバイデンに変わりますが、最も経済的な恩恵を受ける国として注目したいのが「メキシコ」です。

メキシコは11月末時点で8万人以上も新型コロナの影響で死亡しており、また失業者も1,200万人を超え、メキシコ国内にいる10人に1人が職を失いました。

IMF(国際通貨基金)によると、2020年のメキシコ経済の状況はGDP−9%、インフレ率3.7%、失業率5,2%になると予想されており、足元の経済状況はとても悪いです。

また新型コロナ対策としてメキシコ政府はヘルスケアに対する支出を増やしており、家計支援や年金の前倒しなどで国内経済を守るために財政支出を増やしています。

実際、メキシコ中央銀行は約4%の利下げを行い、かなりアグレッシブに財政緩和を進めてきました。

これによりメキシコ経済の今年の財政赤字は−5.8%へと拡大すると言われています。

ではなぜメキシコに注目なのか考察していきましょう。

メキシコ中央銀行とFRBによるスワップライン

メキシコ中央銀行は自国通貨ペソをボラティリティが急上昇した場合でも、米国と安定的な経済取引の流動性を確保するために、FRBとの間でスワップラインという中央銀行同士の通貨を優遇する仕組みを設定しています。

それに加えてメキシコの外貨準備も盤石であることから、メキシコのペソが現状よりも悪化する可能性は極めて低いと言えるはずです。

またメキシコは貿易黒字国であり、海外からの投資資金はコロナで引き上げた赤字と相殺する形となるため、5月以降、経済状況も緩やかな回復基調にあります。

バイデン政権の恩恵を受ける理由

トランプ政権下と異なり、バイデン政権は近隣諸国とも友好的な関係を構築するはずです。

実際バイデンは「同盟国、友好国と協力する」と明言しており、外交・安全保障政策において国際協調を重視する姿勢を明確にしています。

こうした安心材料があることで、機関投資家の資金がメキシコに注がれることが予想されているのです。

メキシコのメジャー株

メキシコ経済を支える主要メジャー株全体に投資できるETFとして、「アイシェアーズMSCIメキシコETF(ティッカーシンボル:EWW)」はリスクヘッジの観点からも投資対象として検討できると思います。

EWWの組み入れ上位銘柄は以下の通りです。

  • アメリカモバイル…約16%
  • ウォルメックス…約10%
  • フェムサ…約10%
  • バノルテ…約8%
  • セメックス…約5%

    これらメキシコにある大企業がEWWに組み入れられています。

    つまりメキシコ経済が「買い」という判断であるならば、EWWは面白い投資対象と言えるでしょう。

終わりに 復活するメキシコ経済

「ソブリン格付け」という指標がありますが、これは中央政府が発行した債権や債務に対する元利払い能力の高さを示す格付け(信用)を意味しています。

現在のメキシコはダウングレードされて格付けは「BBB」という評価になっています。

とはいえFRBとのスワップラインがあることなど、メキシコがこれ以上の財政悪化に陥る可能性は限りなく低いといえます。

今後、新型コロナワクチンが社会に普及し、本格的に米国経済が上向いてくると隣国メキシコの貿易輸出も増加します。

こうした理由から、バイデン政権下において最も経済的恩恵を受ける国としてメキシコが注目されているのです。

文・鈴木林太郎/提供元・The Motley Fool Japan

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