モトリーフール米国本社、2020年12月7日投稿記事より
昨今、人工知能(AI)はさまざまなサービスで活用されていますが、これには理由があります。
AIの利用が急速に増えつつある中で、AIを巧みに活用している組織は効率を上げ、顧客により良い体験を提供しています。
テクノロジー関連リサーチを手がけるIDCによると、2020年のAIに対する支出は世界全体で、前年より12%拡大して1,560億ドルを超える模様です。
これは、現在の世界情勢を考えると申し分ない成長率です。
AIは、今後しばらくは成長を続けるでしょう。
長期にわたってAIのトレンドに投資をしたいと考えるなら、ビジネス・トランザクションを可視化するソフトウエアのダイナトレース(NYSE:DT)、半導体メーカーのマーベル・テクノロジー・グループ(NASDAQ:MRVL)、そして企業向けソフトウエアのメダリア(NYSE:MDLA)に注目すべきでしょう。
それぞれ詳しくみていきましょう。
1. ダイナトレース:AIでリアルタイムの分析
クラウド・ソフトウエアのダイナトレースは、ビッグデータ分析市場で、スプランク(NASDAQ:SPLK)やデータドッグ(NASDAQ:DDOG)などと競合する企業です。
一方で、ビッグデータ分析市場は、この1年で巨大市場となりました。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の最中に、多くの組織がオペレーションのアップデートを慌てて行っています。
つまり、クラウドベースのコンピュータ・システムやサービスへの依存度がさらに高まっているということです。
ダイナトレースのジョン・ヴァン・シクレン最高経営責任者(CEO)によると、クラウド可観測ソフトウエアの獲得可能な最大市場規模(TAM)は、50%上昇して年間320億ドルとなっています。
そのような状況で、ダイナトレースや競合企業が、さまざまな新規ビジネスを立ち上げています。
ダイナトレースは、ビックデータ市場では比較的小規模で、2021 年度第2四半期(7~9月期)の年間経常収益(ARR)は、前年同期比35%増の6億3,800万ドルでした。
同社はグローバルな大企業をターゲットとしています。
多くの企業は、パンデミックが弱まり凍結されていた予算が解除され始めれば、デジタル時代を管理するための新たなツールを求めると予想されます。
そのような状況で、ダイナトレースのクラウド可観測プラットフォームは、購入候補の上位にランクされると見られます。
ダイナトレースは「クラウド可観測」の草分け的存在であり、同市場を、単なるデータの記録やチャートやグラフだらけのユーザーインターフェイスであったものから進化させました。
ダイナトレースは一歩先を行き、リアルタイムAIと分析から顧客に深いインサイトを提供し、課題に対する次のステップを提案します。
ヴァン・シクレンCEOは、同社が直面する最大の課題は営業人材の採用が追いつかないために、大企業への接触が十分にできていないことだと語っています。多くの高成長ソフトウエア会社とは異なり、ダイナトレースはプラスのフリーキャッシュフローを生み出しているため、人件費を増やすことは容易でしょう。過去12ヶ月の売上に基づく株価売上高倍率は18倍で、競合と比べると割安な水準にあります。
2. メダリア:顧客体験からインサイトを提供する
メダリアは、「デジタル体験マネジメント」に特化した分析ソフトウエアを提供しています。
株式リサーチツールのNoonumによると、メダリアの競合は、ソフトウエア大手SAP(NYSE:SAP)の関連部門や調査用ソフトウエア開発を行うSVMK(サーベイ・モンキー)(NASDAQ:SCMK)、さらにイスラエルのメルチメディア・ソリューション会社のナイス・システムズ(NASDAQ:NICE)です。
多くの企業が、顧客との対面販売やサービスツールをデジタルモデルに移行しつつありますが、このような企業の顧客体験を分析するソフトウエアは、厳しい状況に置かれています。パンデミックにより、企業が予算を縮小しているからです。
一方で、メダリアによるAIベースのサービスは成長を続けています。
同社のソフトウエアは、事業や顧客、あるいは従業員による、電話もしくはアプリやソーシャルメディアといったデジタルチャネルを通じたやり取りを蓄積し、彼らの体験を向上させるためのステップを提案するものです。
在宅勤務やソーシャル・ディスタンシングの状況にあって、メダリアが成長を続けるのはもっともです。
初期費用はかかるものの、メダリアが提供する体験マネジメント・ソフトウエアは結果的には、既存顧客を満足させ、さらに新規顧客を獲得するのに役立つものです。
体験管理ソフトウエア市場において、メダリアはAIを活用することで、他社と差別化しています。
2020年、同社のサブスクリプション売上は毎四半期20%を超えて成長しています。
一方で同社はまだ赤字の状態であり、2020年1月~9月期のフリーキャッシュフローはマイナス2,600万ドルでした。
しかし、ソフトウエア業界でも重要なセグメントに位置する同社は、黒字化の道を確実に歩んでいます。
3. マーベル:新時代コンピュータのための、新たなチップ
マーベルの2020年は、慌ただしいものでした。
2019年後半には5Gモバイルネットワーク・チップのAvera買収が完了し、続いて100億ドルで同業のインファイ(NASDAQ:IPHI)の買収を発表しました。
インファイの高速チップとオプティカル・ソリューションは、マーベルが持つプロセッサチップの中核技術を拡大するものであり、AIや5Gといった拡大する市場で有利な立場につくことになると考えられます。
インファイの買収は、マーベルの飛躍につながる可能性があります。
AIアプリケーションには膨大なデータが正確に機能する環境が必要であり、データセンターにストレスがかかります。
したがって、それに耐えうるハードウエアへの需要が高まっています。
エヌビディア(NASDAQ:NVDA)は、AIによるニーズを満たす半導体ポートフォリオを有しているため、他社と差別化されています。一方で、世界的なAI支出は急速に拡大しています。
したがって、複数のプレイヤーが活躍する余地は十分にあり、マーベルの半導体シリーズにも大きな可能性があると言えます。
そのことは、マーベルの第3四半期決算にも現れていました。
売上は前年同期比13%増、さらにAveraとの統合によって収益も大幅に改善しています。
2020年1月~9月期のフリーキャッシュフローは5億6,200万ドルで、前年同期比135%増でした。
利益については、より利益率の高いインファイとの統合が完了すれば、改善が見られると予想されます。
AIおよび関連市場はマーベルにとって重要なものとなるでしょう。
一方同社は、ハードウエアといえば一番に名前が挙がるような位置についています。
筆者は、未来のハイエンドコンピュータのニーズにあった製品ポートフォリオを持つ同社を、今後10年の半導体業界でトップにつく銘柄だと考えています。
文・モトリーフール編集部/提供元・The Motley Fool Japan
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