音楽大手の上場企業エイベックスが11月5日、希望退職制度の実施を発表した。中長期的な成長に向けての取り組みとしているが、コロナ禍で収益が悪化していることが一因と考えられる。イベントの開催自粛などのダメージを受ける中、注目の最新決算も発表された。

エイベックスの希望退職者募集の概要

エイベックスが希望退職者を募集するのは、初めてのことだ。募集人数は100人程度としており、対象者は「音楽事業の一部および全社間接部門に在籍する40歳以上の社員」。現在、該当する社員は443人いるという。

希望退職者の募集期間は2020年12月10日から21日までで、退職日は来年3月31日。希望退職者には優遇措置として「特別退職加算金」を支給するほか、本人が希望すれば再就職支援を受けられるという。

同社は今回の希望退職者の募集について、「中長期でのさらなる成長に向けた取組みを、今後さらにスピード感を持って進めていくため」としており、新型コロナウイルスについては触れていない。

ただし、同日に発表したエイベックスの2021年3月期第2四半期の連結業績(2020年4~9月)からは、コロナ禍による厳しい経営状況が明らかになっており、人件費削減でこの危機を乗り切ろうとしている意図が見える。

第2四半期の連結業績は厳しい結果に

エイベックスが同日発表した、2021年3月期第2四半期の連結業績の数字を読み解いてみる。

  • 売上高……342億7,900万円(前年同期比44.0%減)
  • 営業利益……22億2,900万円のマイナス
  • 経常利益……25億5,700万円のマイナス
  • 最終損益……32億8,900万円のマイナス

売上高が大きく落ち込んだ要因について、エイベックスはライブやイベントの開催自粛が響いたことなどを挙げている。毎年開催している夏フェスの看板イベントである「a-nation」は、今年はオンライン開催となった。

セグメント別の売上高は、以下のとおり。

  • 音楽事業……184億円(前年同期比58.0%減)
  • アニメ・映像事業……48億円(前年同期比26.0%減)

2021年3月期の通期の連結業績(2020年4月~2021年3月)については、新型コロナウイルスの影響を合理的に算定することが困難であるとし、未定としている。

株価も厳しい状況、決算発表翌日に急落

エイベックスの株価は、新型コロナウイルスの感染拡大以降低調だ。コロナ前は1,200円台を超えていたが、その後800~1,000円台まで下がり、最近はやや回復したもののビフォーコロナの水準には戻っていない。

早期退職者募集と決算発表の翌日、エイベックスの株価は1,069円から987円へと急落し、9月30日以来初めて1,000円を割った。

多くの上場企業が早期退職者を募集、すでに前年超え

新型コロナウイルスで経営が厳しくなり、早期・希望退職者の募集を発表している上場企業はエイベックスだけではない。民間調査会社の東京商工リサーチによれば、2020年の上場企業の早期・希望退職実施数は、11月5日時点で74社に上るという。

2019年は35件だったため、すでに2倍を超えていることになる。全体の4割が、新型コロナウイルスの影響を理由に挙げているという。合計募集人数は判明している分だけで1万4,000人を超えており、こちらも前年をすでに上回っている。

エイベックスのようにイベントの自粛を余儀なくされている業種も厳しいが、「アパレル・繊維業」「外食業」「電気機器業」「サービス業」などでも希望退職の募集が目立つ。

東京商工リサーチは今年の傾向について、「新型コロナによる急な業績不振に対応するために、一部企業では一刻も早い人件費の削減を迫られる局面にあり、対象年齢を30代や20代まで下げている」と分析している。

新型コロナウイルスの収束に時間がかかれば、希望退職者の募集は今後も増えていくことが予想される。

従業員は「人財」だが、背に腹はかえられない状況

新型コロナウイルスの影響による経営破綻が相次いでいる中、早期退職者を募集する企業は中長期的な人件費削減によって、何とかこの危機を乗り切ろうとしている。しかし、従業員は「人財」だ。危機的状況とはいえ、それまで貢献してくれた従業員に去ってもらうのは、企業としても苦渋の決断だろう。

エイベックスの思いも、きっと同じだ。しかし、エイベックスは2020年3月期も最終赤字であり、このままいけば2期連続赤字となる。背に腹はかえられない状況なのだ。同社の第3四半期、第4四半期の業績がどのように推移していくか、注目したい。

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執筆・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)

国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。  

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