新型コロナウイルスの感染拡大は、さまざまな企業の業績に深刻なダメージを与えている。それに伴い、業績予想を下方修正もしくは未定とせざるを得ない企業が出てきているが、ソニーは少し様相が異なるようだ。10月28日の決算発表に合わせ、ソニーは通期の業績予想を上方修正した。
2021年3月期の上半期、コロナ禍でも売上高と利益ともにプラス成長
現在のソニーの経営状況から、通期業績予想の上方修正における真相を探っていく。
ソニーが2020年10月28日に発表したのは、2021年3月期の上半期(2020年4~9月)の連結業績で、新型コロナウイルスの感染拡大が全国的に広がった時期と重なる。この時期においてもソニーの売上高は前年同期比0.9%増の4兆824億500万円となり、プラス成長を遂げた。
営業利益と純利益は以下のとおりだ。
- 営業利益……5,461億5,900万円(前年同期比7.1%増)
- 純利益……6,928億8,500万円(前年同期比103.8%増)
特に純利益は、前年同期の2倍以上になっている。コロナ禍での業績とは思えない好調さを感じる人も少なくないだろう。
冒頭で触れた2021年3月期の通期業績は、8月の前回予想から売上高を2,000億円、営業利益を800億円積み増し、それぞれ8兆5,000億円、7,000億円としている。
この発表を受け、ソニーの株価は急伸した。10月26日から10月29日までの4日間の終値は、8,017円、8,100円、8,248円、8,800円。10月28日の決算発表と通期業績予想の上方修正によって、株価が跳ね上がっていることがわかる。
「巣ごもり需要」がゲーム業界では追い風に
なぜソニーの業績は上向いているのだろうか。その理由として、コロナ禍による「巣ごもり需要」がゲーム業界では追い風となっていることが挙げられる。
外出自粛ムードの中、人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」を楽しむためにニンテンドースイッチが世界中で飛ぶように売れたことは記憶に新しい。このようなゲーム業界の活況の恩恵を、ゲーム事業を展開するソニーも受けたというわけだ。
ソニーの事業セグメントの中でも大きな柱である「ゲーム&ネットワークサービス」では、第2四半期の売上高は5,066億円(前年同期比11%増)と大幅に増えた。巣ごもり需要によって、定額制の有料オンラインサービス「PlayStation Plus」の会員数が増えたことなどが後押しした。
PlayStation Plusに加入すると、オンラインマルチプレイや対戦相手とのチャットなどを楽しむことができる。そのため、PlayStation Plusはウィズコロナ時代のコミュニケーション需要の受け皿となった。自宅にいる時間が増えており、PlayStation Plusの会員であればインターネットを通じて無料で遊び放題のソフトを楽しめるからだ。
任天堂やスクエニHDなどの競合企業の業績も好調
ゲーム業界ではソニーのほか、前述の「あつ森」人気もあって任天堂の業績も好調だ。2021年3月期の第1四半期(2020年4~6月)決算では、以下のように凄まじい数字を叩き出している。
- 売上高……3,581億600万円(前年同期比108.1%増)
- 営業利益……1,447億3,700万円(前年同期比427.7%増)
- 純利益……1,064億8,200万円(前年同期比541.3%増)
ゲーム機とソフトの売上高がそれぞれ前年同期を上回り、任天堂は「コロナ禍の寵児」的存在となった。第2四半期(2020年7~9月)の決算発表は11月5日を予定しており、7月以降にどれだけ売上を伸ばしているかが注目される。さらなる好調ぶりが明らかになれば、高値で推移している同社の株価がさらに上がるかもしれない。
「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」などのゲームソフトを展開するスクウェア・エニックス・ホールディングスの第1四半期の業績も、売上高870億5,400万円(前年同期比63.2%増)、営業利益245億4,900万円(前年同期比241.4%増)と好調だ。
PlayStation 5でさらに業績が上向く!?映画部門では厳しさも
今年は11月12日に、最新型のソニー製ゲーム機「PlayStation 5」が発売されることになっている。コロナ禍による巣ごもり需要という追い風が吹く中、歴代ゲーム機の販売台数を大きく上回ることが予想される。
ただし、ソニーはコロナ禍で良い影響ばかり受けているわけではない。例えば、映画分野では映画館の休業や閉鎖などが影響し、売上高は大幅に減少している。
ソニー全体としては、2021年3月期通期の売上高や営業利益は上向く予想ではあるが、予断を許さない状況は継続しているといえるだろう。
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執筆・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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