iDeCo(個人型確定拠出年金)はどこの金融機関で、どんな商品を選ぶかによって老後資金が大きく変わる可能性がある。iDeCoで人気の金融機関の1つに楽天証券があるが、楽天証券のiDeCoでは、商品をどのようなポイントで選ぶべきか。楽天証券のiDeCoのおすすめ商品や、注意したい商品も紹介する。
目次
1.楽天証券のiDeCo(イデコ)の商品の選び方
2.おすすめ商品ランキングTOP5
3.初心者が注意したほうがいい商品
4.iDeCo(イデコ)は定期的な見直しを
1.楽天証券のiDeCo(イデコ)の商品の選び方
投資初心者がiDeCoを始めるときに、一番頭を悩ませるのが金融商品の選択だ。楽天証券のiDeCoの商品の選び方を考えてみよう。
楽天証券のiDeCo(イデコ)の商品は厳選された32本
iDeCoの運用商品提供数は、各金融機関上限35本に制限されている。
楽天証券では、上限よりも少ない32本にまで商品を絞って提案している。商品を選んでいるのは「楽天証券経済研究所」のファンドアナリストだ。
楽天証券のiDeCoには、シンプルなインデックスファンド、高い運用実績を狙うアクティブファンド、オールインワン型のバランスファンドと、コスト効率のよい投資信託がそろっている。数は上限を少し下回るものの、異なる性質の商品が取りそろえられており、選びやすいのが魅力だ。
楽天証券のiDeCo対象商品を資産クラス(アセットクラス)で分類した商品本数を以下の表にまとめた。
主に資産クラス による分類 |
商品本数 |
国内株式 | 6 |
国内債券 | 2 |
国内REIT | 2 |
海外株式 | 5 |
海外債券 | 4 |
海外REIT | 1 |
国内外株式 | 2 |
コモディティ | 1 |
バランス型(複合資産) | 5 |
ターゲットイヤー型 | 3 |
元本確保型 | 1 |
楽天証券のiDeCo(イデコ)の商品を選ぶ5つのポイント
32本の対象商品のどれを選ぶべきか。初心者が押さえるべきポイントは以下の5つだ。
⑴資産クラスは何か(どの地域の何に投資する商品か)
資産クラスはどの地域のどの資産に投資するかを表している。投資信託は資産クラスによりリスクとリターンが変わる。上記の表の分類のように、国内や海外の株式・債券・REITで許容するリスクと期待するリターンが変わるため、資産クラスは何かをまずは確認しよう。
⑵インデックスファンドかアクティブファンドか
運用スタイルにより投資信託はインデックスファンドとアクティブファンドに分けられる。アクティブファンドはインデックスを上回る運用成績を目指すために、同じ資産クラスの商品であっても運用成績に差が出る。アクティブファンドを選ぶなら、どのような運用をするのかを正しく把握したい。
⑶管理費用(信託報酬を含む)は安いか
管理費用(信託報酬含む)は投資信託の保有中に継続して負担するコスト(手数料)だ。iDeCoのような長期投資では管理費用が低いほうが望ましい。インデックスファンドなら管理費用は0.3%より低い商品を選びたい。アクティブファンドの管理費用は高めの傾向があるので、それを上回る魅力があるかを検討すべきだ。
⑷純資産総額は大きいか
純資産総額は投資信託の規模を表し、安定した運用のためにはある程度の規模が必要になる。目安として純資産総額が30億円以上あり、純資産総額が長期で減少傾向でないことを確認したい。純資産総額が減少傾向の場合には、投資する資産価値の減少が続いているか投資家の解約が続いているかのどちらかだ。
⑸過去の長期での運用実績は良いか
過去の長期での運用実績も確認したいポイントだ。過去の運用成績が良ければ将来の運用成績も必ず良くなるとは言えないが、過去の運用成績が良くない商品は選択から除外できる。またインデックスファンドの過去の運用実績を確認することで、投資対象とするインデックス(指標)が長期で上昇しているかを確認できる。
2.楽天証券のiDeCo(イデコ)のおすすめ商品ランキングTOP5
上述した商品を選ぶ5つのポイントを踏まえ、楽天証券のiDeCoで買えるおすすめ商品ランキングを紹介する。(※データは2020年6月26日時点)
1位……楽天・全米株式インデックス・ファンド
- 資産クラス:海外株式(米国)
- 運用スタイル:インデックスファンド
- 管理費用(信託報酬含む)……0.162%(税込)
- 純資産総額……1,074.82億円
楽天・全米株式インデックス・ファンドは、主に「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」への投資で、米国株式市場の動きに連動する投資成果を目指すファンドである。純資産総額は1年前に比べて2倍以上になっている人気の商品だ。
バンガードはインデックスファンド世界シェアNo.1の運用会社だ。バンガード・トータル・ストック・マーケットETFは米国株式市場の大型株から小型株までの投資可能銘柄のほぼ100%をカバーする。
組入れ銘柄はマイクロソフト、アップル、フェイスブックなどのテクノロジー企業の構成比が高い。
2位……たわらノーロード 先進国株式
- 資産クラス:海外株式(先進国)
- 運用スタイル:インデックスファンド
- 管理費用(信託報酬含む)……0.10989%(税込)
純資産総額……556.64億円
たわらノーロード 先進国株式は、日本を除く世界の主要先進国の株価指数の動きに連動する投資成果を目指している。米国株式に加えて欧州などの先進国株式へ投資する場合におすすめのファンドだ。
国・地域別構成比は7割近くを米国が占め、米国の株式への投資が主体だ。組入れ銘柄は楽天・全米株式インデックス・ファンドと同様にアップル、マイクロソフト、フェイスブックなどの米国テクノロジー企業が上位を占める。
たわらノーロード 先進国株式の騰落率を楽天・全米株式インデックス・ファンドと比較すると、2020年5月末時点での過去1年や6カ月の騰落率は、楽天・全米株式インデックス・ファンドがこのファンドを上回っている。
3位……たわらノーロード 日経225
- 資産クラス:国内株式
- 運用スタイル:インデックスファンド
- 管理費用(信託報酬含む)……0.187%(税込)
純資産総額……230.56億円
たわらノーロード 日経225は日経平均株価に連動する投資成果を目指すファンドである。日経平均株価(日経225)は東証1部上場銘柄のうち代表的な225銘柄をもとに計算される。これらの銘柄にまとめて投資するのと実質的に同じ効果が得られるのだ。
組入れ上位銘柄TOP5は、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、ファナック、KDDIだ。この5社で約23%を占めるため、これらの銘柄の値動きの影響が大きい。
純資産総額はコロナショックの株価下落により一時的に下落したものの、4月以降の純資産総額は増加傾向でありコロナショック前を超えた。純資産総額の伸びから積極的に買われていることが分かる。
4位……たわらノーロード 先進国債券
- 資産クラス:先進国債券
- 運用スタイル:インデックスファンド
- 管理費用(信託報酬含む)……0.187%(税込)
純資産総額……147.63億円
たわらノーロード 先進国債券は、主に海外の公社債に実質的に投資する投資信託だ。今回のおすすめ商品TOP5の中で最も低リスクのファンドである。
債券へ投資するファンドのためコロナショックによる影響をあまり受けていない。株式へ投資するファンドの多くは6カ月前より基準価額が下落したが、このファンドは6カ月前よりも基準価額が上昇した。
国・地域別の構成比では米国が50%近くを占め、残りは日本を除く先進国の各国資産から成る。純資産総額は基準価額の伸びを大きく上回るペースで増加中であり、人気のファンドだ。
5位……楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- 資産クラス:国内外株式
- 運用スタイル:インデックスファンド
- 管理費用(信託報酬含む)……0.212%(税込)
純資産総額……416.4億円
楽天・全世界株式インデックス・ファンドは「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」への投資を通じて、実質的に国内外の先進国や新興国の株式に投資する。
国・地域別構成比では米国が50%を超える。中国はわずか4.3%であり、全世界株式という名前であるが米国株の比率が高い。
2020年5月末時点での過去1年や6カ月の騰落率では、楽天・全米株式インデックス・ファンドやたわらノーロード 先進国株式がこのファンドを上回っている。
3.楽天証券のiDeCo(イデコ)で初心者が注意したほうがいい商品とは
iDeCoの対象商品は投資初心者が安心して長期投資できる商品ばかりではない。注意したい商品として、コモディティ(ゴールド)とターゲットイヤー型がある。
コモディティ(ゴールド)の長期投資は管理費用に注意
コモディティとは一般的に「商品」のことを意味する。ここでの商品には、金などの貴金属、原油などのエネルギー、大豆などの穀物が含まれる。
楽天証券のiDeCo対象商品でコモディティへ投資するファンドには「ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)」がある。このファンドは金現物拠出型上場外国信託への投資で、ゴールド(金)の値動きに連動する投資成果を目指すものだ。
ゴールドは株式や債券などの金融商品とは違い、配当や利子を得られない。ゴールドへの投資は金という金属の価値の上昇を期待して行うものだ。
ゴールドファンドは配当や利子を得られない投資のため、管理費用のコストを厳しくチェックすべきだ。特に長期投資では管理費用が高ければ元本割れの確率が上がる。
ただしゴールドファンドは短期投資であれば役に立つケースがある。コロナショックなどにより株価が暴落する場合にはゴールドに資金が集まり、ゴールドの価格が上昇することがある。ゴールドの価値は世界共通で、世界情勢が不安定なときでも無価値になることはない安全資産と考えられているからだ。
そのような場合にはゴールドファンドを短期的にうまく利用できればリスクヘッジ(起こりうるリスクに対応できるように備えること)になるだろう。
便利に見えるターゲットイヤー型は管理費用が高め
楽天証券のiDeCoにはターゲットイヤー型のファンドがラインアップされている。ターゲットイヤー型とは、ターゲットにした年に向けて資産配分を自動的に調整するファンドだ。
ターゲットイヤー型を利用する目的は、ライフステージが進むにつれて投資リスクを下げて、安定した運用へと切り替えることにある。たとえば楽天ターゲットイヤー2030には、日本を含む先進国の株式と債券が資産に組み込まれる。このファンドの組入れ比率は、株式43.0%、債券56.9%、その他0.1%だ(※2020年5月29日時点)。配分比率は2030年の決算日あたりまでに、株式15%、債券85%の比率の低リスクの運用へと変化する。
この仕組みは良いのだが管理費用が高いというデメリットがある。楽天ターゲットイヤー2030の管理費用は0.8575%(税込)だ。将来的に低いリスクの運用になったときに、高めの管理費用を払っても高いリターンは期待できない。それならば管理費用が低いファンドの比率を自分で変更していくほうがおすすめだ。
4.楽天証券のiDeCo(イデコ)は定期的な見直しを
楽天証券のiDeCoでおすすめ商品は管理費用が低いものに絞り込んだが、管理費用が高めの商品にも魅力的なものがある。管理費用が高めの商品は、その内容を吟味してから選択したい。
長期投資のiDeCoは一度商品を決めたらそのままで良いというわけではない。定期的に運用成績や商品を見直して将来に備えたい。
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