転職サイト「ミドルの転職」が35歳以上の転職経験がある人に行ったアンケート(回答者数907名)で、その半数以上が年収アップしていることが明らかになった。転職は35歳が限界と言われた時代もあるが、今は40代の転職も珍しくなくなっている。

35歳以上の転職者の約7割が年収維持orアップ

(画像=「ミドルの転職」より)

 
家族を持つミドル世代の転職では、やりがいも重要だが年収アップも妥協できないポイントだ。「転職後の年収の変化」についての回答では、年収が上がった人は52%。変化なしも含めると、約7割が年収維持またはアップしているという結果が出た。
 

(画像=「ミドルの転職」より)

年収アップした金額で最も多かったのは「100~149万円」で29%、全体の71%が100万円以上の年収アップに成功している。100万円以上年収が上がった35歳以上の転職者は、回答者全体の約40%ということになる。

この結果を見ると、現在では「転職35歳限界説」は覆っていると考えられる。「もう40歳近いし、転職しても年収は上がらないのでは……」と考えているミドル世代のビジネスパーソンには、明るいニュースだ。

ミドル世代の転職で年収アップを成功させるためのポイントは?

(画像=「ミドルの転職」より)

年収が上がった人が、転職時に気をつけていたことは何だろうか?「年収を上げるために転職時に意識したことは?」(複数回答形式)という質問には、「経験が活かせるポジションであること」という回答最も多く、約60%を占めた。「スカウトオファーから選ぶ」(23%)、「人脈・縁のある企業であること」(11%)という回答も上位に入っている。これまで培ってきたものが活きる転職先を選ぶことが、年収アップのポイントと言えそうだ。

また、年収アップのために必要と感じた「ヒューマンスキル(=対人関係能力)」については、「コミュニケーション能力」(76%)が最も多く、「リーダーシップ」の64%が続いた。転職先の企業で円滑に業務を遂行し、周りに馴染むための能力は、どの年代においても必須スキルとも言えそうだ。

(画像=「ミドルの転職」より)

同調査では、「テクニカルスキル(=業務遂行能力)」についても聞いている。「業務経験」や「専門知識」が必要と考えている人が全体の60%以上に達した。

これらのアンケートを総合すると、35歳以上が転職を成功させるためには「これまでの経験・スキルを活かせるかどうか」が重要であるということが見えてくる。企業は、即戦力として活躍できるミドル層を求めている。専門分野での高い業務遂行能力が、転職市場での価値に直結しているのだ。

転職に求めるものは若年世代とミドル世代で異なる

20代であれば、ポテンシャルを見越して未経験でも採用される可能性がある。だが35歳付近は、職場ではマネージャーとしての役割も期待される年齢であり、未経験業界へチャレンジするとなると、年収が下がってしまう可能性が高い。そういった意味では、「35歳転職限界説」はまだ活きているのかもしれない。

一方で昨今の人材の流動化や労働力不足から、豊富な経験を持つミドル層を積極的に求める企業もある。つまり、ミドル世代と若年世代の転職は意味合いが違うのだ。この観点では、35歳転職限界説はすでに過去のものと言えるだろう。

「人生100年時代」と呼ばれる現在、上記のことは40代にも当てはまるだろう。さらに高齢化が進み、労働力不足がより深刻になれば、この流れは加速するだろう。リカレント教育などが推奨されている昨今、専門分野の経験・知識を積極的に磨いていくことで、より長く、充実したビジネスライフを過ごすことができるはずだ。
 

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文・三島ゆき(フリーライター)

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