自民党総裁選で河野太郎氏が解雇規制に言及して話題になっているが、いまだに木原誠二氏(内閣官房副長官)のように「日本の解雇規制はきびしくない」と反論する人がいる。問題はそこではないのだ(2022年11月6日の記事の再掲)。
解雇規制の緩和は、実は木原さんははっきり否定してたんだよね
総裁選で各候補者見解が違うだろうから議論して欲しいところ木原誠二「解雇規制と流動性には相関関係が無いっていうのが最近の定説」 pic.twitter.com/oR6diZHhcf
— 筋斗雲 (@kimagure9800) September 1, 2024
ツイッター社の突然の解雇が話題を呼んだが、海外では事前に通告すると社員が企業秘密を持ち出すおそれがあるので、予告なしに解雇するのが普通だ。SNSへのアクセスも止められ、自分のオフィスに戻ることも禁止され、机に入っている私物は段ボール箱に入れて自宅に送ってくる。
【TBS報道】ツイッター日本法人でも解雇者か、本社から英文の解雇通知https://t.co/bPdeMwwHX6
解雇対象となった従業員は、当日から会社のパソコンへのアクセスや、社内アカウントのメール、社内のSNSの使用ができなくなり、出社もできなくなったという。
— ライブドアニュース (@livedoornews) November 5, 2022
日本の「解雇規制」はきびしくないが、問題はそこではない
日本の解雇規制はきびしくない。OECDの基準でも平均よりややゆるやかで、解雇は原則自由である。民法627条では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と解雇自由の原則を定めている。これは「契約自由の原則」という民法の大原則である。
労働基準法では30日前までに予告するよう定め、組合活動などによる不当解雇を禁止しているだけだが、労働契約法16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と定めている。これは最高裁の判例を立法化したもので、ほぼ唯一の解雇権の制限である。