●この記事のポイント ・生成AIにプログラムのコーディングを任せるバイブコーディングの利用が広がっている ・人間が適切なプロンプトを書けるかどうかが重要なので、スキルがない人では難しい ・AIエージェントを使うことは開発の現場ではすでに当たり前に。いきなり完成形を目指さない

 生成AIにプログラムのコーディングを任せるバイブコーディングの利用が広がっている。より高度な機能を持つAIコーディングツール、AIコーディングアシスタントなども含めると、米OpenAIの「Codex」、米Anthropic(アンソロピック)の「Claude Opus 4」、米グーグルの「Jules」など有力テックも開発に力を入れている。米メタや米マイクロソフトもすでに自社の開発にAIコーディングを取り入れているという。大幅な開発効率向上や開発要員を確保するコストの削減、プログラミングのスキルがない人でもコーディングができるようになるといったメリットがあると期待が高まる一方、こうした効果に否定的な見方も少なくない。果たしてバイブコーディングを使うと、大幅に開発効率が向上するなどのメリットが生じるのか。逆にデメリットや“陥りやすい罠”などはあるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

適切なプロンプトを書けるかどうかが重要 単純に人間よりAIのほうが安いとはいいきれない面も 適切なプロンプトを書けるかどうかが重要 「以前からあるエディターに組み込まれたサジェスト機能を使うパターンは自分でコーディングを行う作業の延長線上なので、それを除くと、バイブコーディングというのは、人間がプロンプトである程度命令を出して放置していたら、自動的にタスクが出来上がるというものを指すのだと思います。結論からいうと、現時点ではまだバイブコーディングの精度は低いというのが正直な感想です。いかに人間が命令を具体的に書くかで結果が大きく変わってくるので、『どこまで精密さを求めるのか』『どのくらい妥協するのか』といった感覚が重要になってきます」

 こう解説するのは株式会社ディーゼロ執行役員でウェブアクセシビリティスペシャリストの平尾優典氏だ。プログラミングのスキルがない人がテキストで指示するとプログラムが出来上がるという単純は話ではないということか。

「例えばプログラミングの知識がない人でも、システムの完成形を正確にイメージできていれば、たとえAIが生成したコードが間違っていたとしても、ツールとのやりとりのラリーを重ねることで“その人にとっては”システムがつくれたということになるかもしれません。ですがプロのエンジニアがつくるプログラムは書き捨てることはほとんどなく、完成した後にメンテナンスや機能拡張をしていくので、『こういうコーディングだと、のちのち拡張ができない』といったことを意識しながら開発をしていきます。また、システムは一つの入力に対して一つの結果しか返さないというわけではなく、さまざまな入力パターンに対して正しい結果を返す必要があるので、『こういう入力パターンだと正常に作動しないのではないか』『つじつまが合わない結果を返してしまうのではないか』といったことを考えながらコーディングしていきます。

 そうしたパターンやパラメーターをより多く想像できるのがプロのエンジニアなのですが、そこにAIがついてこれているかというと、あまりついてこれていません。精度が高いシステムをつくるには、人間が適切なプロンプトを書けるかどうかが重要になってきますが、そこはスキルがない人では難しいでしょう」(平尾氏)

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