2023年の探究学習支援サービス市場は、前年比149.7%の23億8,000万円

​~2022年度の高等学校における「総合的な探究の時間」の必修化により、外部支援サービスの導入が加速~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の探究学習支援サービス市場を調査し、参入企業の現況や動向、市場の課題と展望を明らかにした。ここでは、探究学習支援サービスの市場規模推移・予測について、公表する。 **

                            探究学習支援サービス市場規模推移・予測

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探究学習支援サービス市場規模推移・予測

2018/04/24 add yasumuro

1.市場概況

探究学習は、受け身の学習からの転換を図り、子どもが主体的に学びを深める学習として、学校教育のなかで注目を集めている。 2023年の探究学習支援サービス(教材、プログラム、プラットフォーム、コンサルティング、アセスメント)の市場規模は、サービス事業者売上高ベースで前年比149.7%の23億8,000万円と推計した。2022年度の高等学校における「総合的な探究の時間」の必修化により、学校全体における資金、人材、経験等の不足など探究学習を実施する上での課題が顕在化し、外部支援サービスの導入が加速している。 一部では、必修化前から外部支援サービスを導入して授業を行っていた学校もあったが、多くは2022年度の必修化を機に外部支援サービスを導入したとみられる。さらに、補助金や助成金事業が活発化し、学校が制度を活用して外部支援サービスの導入を進めたことも、探究学習支援サービス市場拡大の背景にある。

2.注目トピック

企業からの探究学習参画とマネタイズが次の課題

教育制度改革を契機に、探究学習の重要性や求められる質が高まっている。独自に授業内容のブラッシュアップを行い、探究学習への取組みを学校の魅力化につなげていく機運がある一方で、外部連携に課題のある学校からは企業が参画するプログラムを導入したいというニーズが高まっている。 企業の持つリアルな課題は探究学習の良いテーマになり、企業活動や社会に触れられる点や、社員からフィードバックをもらえるといった点が評価されている。しかし一般的に、カスタマイズや人材の派遣が必要になるプログラムは単価が高い傾向にある。予算の少ない公立の高等学校にとっては難しい問題となっているが、一部のサービス事業者では企業からのマネタイズを行い、学校へのプログラム提供を実現しているケースがある。 企業側はCSR(企業の社会的責任)を目的に無償で学校への人材の派遣を行っている場合や、広告宣伝費や人事部の予算から企業がサービス事業者へ代金を支払っている場合がある。企業の持つ商品やサービス、企業そのものの認知を拡大させるためである。 企業側ではマーケティング活動や採用活動の高度化で有効となる打ち手が少なくなる中、特定の高校生へのアプローチは一定のメリットがあると考えられている。また、社員を学校でのプログラムに参加させることは、企業における人材育成になると捉えられている面もある。 今後、多くの企業を探究学習に参画させること、そして企業からのマネタイズを行うことは探究学習支援サービス事業者にとって課題となるが、学校や社会の課題解決、また市場拡大にもつながっていくこととなる。

3.将来展望

2024年の探究学習支援サービス市場規模は、前年比150.8%の35億9,000万円を見込む。 必修化当初は自力で授業を行っていた高等学校も少なくなく、外部支援サービスの導入に対して様子を見ていた学校もあった。しかし、自力での探究学習の運営において、技術的や時間的課題を感じた学校側が、外部の探究学習支援サービスの導入に踏み切ってきた。2023年から2024年にかけては、支援サービス市場へのサービス事業者の新規参入も活発化した。今後については、補助金や助成金事業の上限金額の減少が見込まれ、新規参入も落ち着くとみられる。そのため、限られたサービス事業者が一定規模の売上を伸ばし、市場の伸びも一時より鈍化する見通しである。

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