一方、イロレーティングは試合ごとに即時に更新される。世界のどこかで国際Aマッチが開催されれば即、変動が起きる。そのため、最新の強さがすぐに反映される。
また、FIFAランキングでは過去4年間の国際親善試合やW杯本大会、大陸別大会などでポイントの重みが異なり、大陸間の強さの格差も考慮される。しかしイロレーティングでは基本的に試合結果とレーティング差が重要で、試合の種類による補正はK値で多少調整されるものの、最小限に留まる。
FIFAランキングが政治的・組織的な用途を意識し、公平性と透明性が重視される一方で、イロレーティングはあくまで“そのチームの強さ”によりフォーカスしていると言える。
2022年のカタールW杯直前、FIFAランキングで日本は24位だった。一方、イロレーティングでは20位だった。ドイツやスペインを破った後、イロレーティングでは15位にまで急上昇したが、FIFAランキングでは20位に留まった。
これはドイツとスペインを破ったものの、コスタリカに敗れたことで、ポイントが思ったほど上積みされなかったことが要因だった。FIFAランキングが過去4年間の安定した成績を重視し、親善試合やアジア勢同士の試合を軽く扱っているのに対し、イロレーティングはW杯での大番狂わせを即座に反映し、対戦相手の強さ(ドイツ、スペイン)が高ポイントに直結したのである。

双方のメリット、デメリット
1993年に導入され、2018年から「SUM式」と呼ばれる計算方法が採用されているFIFAランキング。日本は対戦相手の強さなどを全く勘案しない計算式だった1998年当時のFIFAランキングでは史上最高9位に入ったこともあるが、現行の計算式で1桁順位に入るには、欧州や南米強豪国との国際Aマッチを数多く組み、かつ勝利しなければならない。アジアではレベルの違いを見せ付けても、なかなかFIFAランキングに反映されないのは、ここに原因がある。