若いうちにこそ教育・経験・投資など、さまざまなリターンを得やすいフェーズがある。しかし一方で、多くの人は将来の不安から“備える”ことばかりに注力してしまう──ここに、筆者は大きなギャップを感じている。
社会人は若く、独身の時期にできる限りハードワークして仕事術やスキルを身につけることで20代後半、30代以降のキャリアに影響する。
資産形成についても、金融投資は長期右肩上がりという本質があるため、「どれだけ資金を早く投資できるか?」が鍵となる。このように人生における教育や挑戦は早ければ早いほどいいのだ。
とはいえ、もし若い頃に十分な行動ができなかったとしても、落胆する必要はない。
時間は戻らないが、“今”が人生でいちばん若い瞬間であることに変わりはない。今この瞬間から頑張ることでこれからの未来を輝かせることができる。過去を悔やむ暇があれば、今すぐ頑張るべきだ。
備えすぎはムダになる
この本質を考えると、将来をあまりに過大評価し、逆に現在を過小評価することは自分には間違っているように思える。
資産運用をする人の中には、今の生活を質素倹約に過ごし、そこで生み出した資金をひたすら株式に投資し続ける人がいる。こうした行動は資産拡大という目的達成を考えると正しい。しかし、問題は「いつまでやるか?」「今、お金を使わなくても良いのか?」ということだ。
資産運用に熱中すると、シューティングゲームのハイスコアアタックのような感覚になり、ひたすら残高を増やすゲームに熱中してしまう。そのため、増やすのは気持ちよくても、取り崩して減らすのは非常に難しくなる。
筆者の知人に「株はどれだけ暴落しても待てば回復する」といっていた高齢者がいたが、その人はとうとう株を売らずにこの世を去った。これではなんのために忍耐強く株を買い続けたのかわからなくなってくる。彼が資産運用に費やした時間、忍耐、種銭を捻出した労働はタダ働きだったことが死後になってわかるのだ。