まるで、機関銃の連射すらもエミューの機敏なステップに太刀打ちできず、ただ弾薬だけが無駄に消費される始末だったのです。
次第に、戦況は露骨な失策へと転じます。
オーストラリア軍は、短期間で数羽のエミューを仕留めるに留まり、期待されていた「大掃討作戦」は、まさに自然の猛威に屈する形となりました。
こうした戦闘の開始は、当初の兵士たちの自信を打ち砕くと同時に、後に「エミュー戦争」として語り継がれる、奇妙な戦局の幕開けを告げたのです。
エミューに負けたオーストラリア軍

作戦開始から数日、オーストラリア軍の戦局は次第に泥沼化していきました。
メレディス少佐率いる部隊は、何とか一矢報いるために機関銃の連射で一斉攻撃を試みます。
しかしエミューたちはまるで計算されたかのように小分けに散り散り、どの瞬間にも狙いを定めにくい動きを見せたのです。
結果、銃火器は膨大な弾薬を浪費するのみとなり、兵士たちは効率的な戦闘を展開できず、次第に苛立ちと絶望感が蔓延していきました。
さらには、オーストラリア軍が待ち伏せ戦術や移動戦法を模索するも、エミューたちは予測不可能な速度と敏捷性で戦場を縦横無尽に駆け回り、軍の戦術を容赦なく翻弄したのです。
兵士たちは、次々と逃げ去るエミューに対し、固まった陣形や射程の限界という現実に直面せざるを得ず、その戦況はまるで無意味な弾薬の雨に終始するかのようでした。
計9860発もの弾薬を投入しながらも、確認された犠牲数はわずか986羽に留まり、戦局の行方は完全に軍側に不利なものとなったのです。
この不可解な戦闘は、オーストラリア軍の技量や装備の限界を露呈し、軍事力を誇示していたはずの兵器が自然の猛威の前に無力であることをあらわにしました。