「モテない男は理想が高いからだ」とよく言われます。
しかし一方で、モテない男性は優しくされるとすぐ惚れてしまうなんてことも言われます。
心理学ではこうしたモテない男性をインセルという分類で研究しています。
インセル(incel)とは、「Involuntary celibate」の略語で、直訳すると「不本意な禁欲」という意味になりますが、これは主に女性と関係を持ちたいにも関わらず、経済的な理由などさまざまな要因から「意に反して独り身の男性」を指す言葉として使われています。
近年、このインセルという言葉は比較的話題になりつつありますが、具体的な研究が少なく、多くの意見や評論は根拠のない推測に基づいていました。
しかし、アメリカのテキサス大学心理学科のウィリアム・コステロ氏ら研究チームがは、インセルとして自分を認識している男性は、精神的に多くの問題を抱えており、恋愛相手に対する理想も一般の男性よりも低いという事実を報告しています。
自分はモテないと自覚している人たちにはどのような心理が働いているのでしょうか。
この研究の詳細は、2023年9月6日付けで『The Journal of Sex Research』誌に掲載されています。
目次
- インセルとは
- 自分はモテないと感じている男性が抱える問題
インセルとは
インセルという言葉は、1990年代にカナダ人の女子学生が、自分の意志に反した独身生活を探求するために作った造語でしたが、その後、2010年代に、主にインターネット上のサブカルチャーと結びつき、一般的になりました。
元々は恋愛や性的な関係に憧れながらも、それが叶わない男女を指す中立的な言葉として使われていましたが、時が経つにつれて、言葉の意味や背景に対する認識が変わっていき、現在では主として若年層の男性を指す言葉となっています。
日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、日本語では「非モテ」や「弱者男性」などのネットスラングと結びつけて理解する人が多いようです。