「絶滅」と書かれたその鳥に、誰もが二度と会えないと思っていました。
けれど、190年の時を経て、その小さな命は再び人前に姿を現しました。
2025年、南米エクアドルのガラパゴス諸島で、科学者たちは信じがたい発見をしました。
19世紀以来、姿を消していた「ガラパゴスクイナ(学名:Laterallus spilonota)」が再び確認されたのです。
この発見は、チャールズ・ダーウィン財団(CDF)とガラパゴス国立公園局の共同調査チームによって行われたもので、長年にわたる外来種駆除と生態系回復プロジェクトの成果でもあります。
目次
- フロレアナ島から消えた飛ばない鳥「ガラパゴスクイナ」
- フロレアナ島で190年ぶりに「ガラパゴスクイナ」を発見
フロレアナ島から消えた飛ばない鳥「ガラパゴスクイナ」

ガラパゴスクイナ(学名:Laterallus spilonota)は、ガラパゴス諸島固有の非常に珍しい鳥です。
体長はわずか15〜18センチほどで、灰色と黒の縞模様が特徴。
脚は細く、くちばしは短い──一見して地味な印象を与えるかもしれません。
この鳥の大きな特徴の1つは「飛ばない」ことにあります。
わずかに飛べなくもありませんが、非常に苦手であり、これまでガラパゴスクイナが飛んだ距離として記録されているのはたったの数メートルだけです。
そんな彼らは、イサベラ島、サンタクルス島、サンティアゴ島、ピンタ島などの複数の島々に独自の生活圏を築いていきました。
しかし、19世紀に入ると状況が一変します。

人間が持ち込んだ猫やネズミなどの外来捕食動物が島に定着。
飛べないクイナたちは次々と捕食され、特にフロレアナ島では絶滅したとされていました。