「理論的には私に力があるように見えるかもしれない。でも実際には、現場の空気を壊す“嫌なやつ”にならないと、自分を守れなかった」と語っている。

 

数々の不快な体験

クリスティン・デイヴィスは今回のポッドキャスト以外でも、ドラマ制作時に感じた「守られていない感覚」について複数回語っている。

2025年2月の『People』誌のインタビューでは、「撮影中にあまりに不安を感じ、深夜2時にロサンゼルスのマネージャーに電話するため、ドレッシングルームに隠れたことがある」と告白している。これは、現場で何かしら不適切な要請があったことを暗示している。

さらに今回のポッドキャストでは、「現場に誰もいなくなった後、特定の監督が残り、“もう少し何かを撮ろう”と誘ってきたことがあった」とも述べている。

また、デイヴィスはシーズン6に登場する、夫役のエヴァン・ハンドラーと共に食中毒で倒れるコメディシーンについても「本当に嫌だった」と語った。「なぜこんなことをやらされるのか理解できなかった」とし、脚本家にカットを直訴したことも明かしている。

 

現場の空気に逆らうということ

一連の発言から浮かび上がるのは、「自分を守るために声を上げること」が、業界内でいかに難しかったかという現実である。演出や脚本に対する疑問や抵抗は、“プロ意識が足りない”というレッテルを貼られかねない雰囲気があり、俳優であっても沈黙を強いられる構造があったようだ。

それでもデイヴィスは、「結果的にはやってよかったと思えるシーンもある」と前向きに語っている。一方で、「もっと守られていれば、あの場面はもっと違う形で演じられたかもしれない」と、本来あるべき環境への思いもにじませた。