また、敵陣のサイドにボールが到達してもクロスのバリエーションが乏しく、これも武漢の守備を崩せなかった原因のひとつ。サイドの深いところへ一旦ボールや選手を送り込み、パスワークの起点を作る。そこから後方の味方選手にボールを渡し、このパスを受けた選手がすかさずクロスボールをペナルティエリアへ送る。こうしたサイド攻撃が武漢戦では少なかった。

浦和RLが思い出すべきゴールは
2023/24シーズンのWEリーグ最優秀選手に選ばれ、得点女王にも輝いたFW清家貴子が、昨夏にブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン(イングランド)へ移籍。強力なアタッカーを失ったなかで、如何にしてパスワークの質を高め、攻撃力や得点力を維持するのか。これが浦和RLの現状の課題だ。
どの試合でもボール保持率は高く、敵陣の深いところまでボールを運べているが、あとひと工夫が足りない。そんな同クラブが思い出すべきは、2023/24シーズンのWEリーグ第17節サンフレッチェ広島レジーナ戦における先制ゴールだろう。
ここでは浦和RLが敵陣右サイドのゴールライン付近で攻撃の起点を作り、遠くへ飛ばなかった相手選手のクリアボールを栗島が回収。栗島がすかさずペナルティエリア内へ浮き球を送ると、これに伊藤がヘディングで合わせ、ゴールネットを揺らした。
味方からのパスか、それとも相手のクリアボールかの違いはあるが、サイドの深いところで攻撃の起点が作られ、その後方に立っていた選手のクロスからゴールが生まれたことに変わりはない。ゴール前に立っている相手選手の死角(背後)から、助走をつけてクロスボールの落下地点に入れば、小柄な選手でもヘディングで得点できる。先述のゴールシーンは、このサッカーの真理が身長150cmの伊藤によって証明された瞬間だった。
