ミランは関税引き上げを支持する一方で、ドル安誘導を提案していますが、上記のように関税を上げるとドル高になるので、彼の政策は矛盾しています。
彼は関税を交渉のツールとし、最終的に通貨を調整する多国間協定で関税引き上げの負の影響を緩和しようとしています。しかし、現在の世界経済ではプラザ合意のような協定の実現は困難であり、彼の戦略が実際に機能するかは疑問が残ります。
Q. トランプの関税政策は世界経済にどんな影響を及ぼすでしょうか?
ミランの理論の通りトランプの関税政策が実施されると、世界経済には以下のような影響が及ぶ可能性が高い。
1. 世界貿易の縮小と供給網の混乱:ミランの関税理論は、アメリカが大規模な関税を導入し、貿易赤字の縮小と国内産業の活性化を目指すものですが、これが実行されると輸出国は報復関税を課します。アメリカと主要貿易相手国の間で貿易戦争が勃発して貿易量が縮小し、グローバルなサプライチェーンが寸断されます。
2. 物価上昇:関税が上がれば、輸入品のコストが増加し、国内の消費者や企業はより高い価格を支払うことになります。その結果、アメリカではインフレ圧力が強まり、消費者の負担が増加します。FRB(連邦準備制度)はインフレ抑制のために金利を引き上げる可能性が高く、これが経済成長を鈍化させます。
3. ドル高の進行:関税の引き上げは、アメリカの貿易赤字を縮小させる効果がある一方で、海外からの資本流入を増やし、ドル高を引き起こします。この結果、アメリカの輸出競争力が低下し、アメリカ製品の価格が上がります。輸出企業は不利になり、貿易赤字削減の効果が相殺されて逆効果になるおそれが強い。
4. 新興国経済への打撃:アメリカが関税を引き上げると、中国やメキシコなどの輸出依存度が高い新興国は大きな打撃を受けます。特に中国の輸出産業は深刻な影響を受けて成長が鈍化し、世界的な景気減速が進行します。