表1 全接種者を対象にしたファイザーワクチンのロット間における死亡率の違い(沼津市)
全接種者を対象にしたコロナワクチンにおけるロット差の検討
図3にはワクチンの接種時期による死亡率の違いを示す。接種開始早期の2021年7月までと2022年2月から3月にかけて使用されたロットの死亡率が高かった。

図3 ワクチンの接種時期による各ロットの死亡率の違い(沼津市)
厚労省は、各ロットの納入時期と死亡報告頻度を公表しているが、沼津市における検討と同様ロット間で大きな差が見られ、死亡報告頻度の高いロットは、2021年7月までに集中していた(図4)。

図4 ワクチンの納入時期による各ロットの死亡報告頻度の違い
厚生科学審議会資料により筆者作図
接種開始早期は、主に高齢者が接種対象であったことが、この時期に使用されたロットの死亡報告頻度が高い理由とも考えられるが、2021年2月から4月に、若年者や壮年者が主の医療従事者を対象にした先行接種で使用されたロットの死亡報告頻度も高いことから、接種対象の違いのみでは説明がつかない。
表2には、厚労省の発表する各ロットの納入数と死亡報告数、死亡報告頻度を示す。ファイザーワクチンの納入総数は2億4,800万回分であり、死亡報告件数は,1,309件、死亡報告頻度は0.0005%であった。厚労省の発表する死亡報告頻度と沼津市における死亡率には大きな違いがあった。

表2 コロナワクチン各ロット別死亡報告頻度
第93回厚生科学審議会資料
この大きな違いは、沼津市の検討で用いたワクチン接種後の死亡報告数と厚労省の発表する死亡報告数の相違に由来する。沼津市の場合、ワクチン接種後の死亡者の全てを含むが、その多くは偶発的なものと考えられる。
ワクチン接種後の死亡例に対して、ワクチン接種と死亡との因果関係を否定することは、副反応検討部会で判定を受けているのが0.5%に過ぎないことからわかるように容易ではない。それゆえ、ワクチンの安全性を評価するには、多くの死亡例の情報を集めるのが望ましい。