金を配れというアドバイスを無視したからといって、次は替われなどと泉田氏が言われる筋合いはあるまい。この問題はどっちもどっちではない。
報道では星野氏が知事選挙に泉田氏を担ぎ出した恩人だとか書いているが、そのとき、泉田氏に知事選挙出馬をすすめてシナリオを書いたのは、当時、民主党の渡辺秀央氏であって星野氏ではない。
そもそも、泉田氏が硬骨漢で、裏金などとはいちばん無縁であることは承知のうえで、新潟5区から出て欲しいと4年前の総選挙で頼んだのは地元の自民党だ。
そもそも、今回の選挙で誰がまったく当選の見込みがない森氏に立候補させたのかも不思議だ。誰が得したかと云えば、もちろん米山氏だが、そう決めつけるわけにも行かない。自民党も次回の総選挙では定数が一人減って6人か5人になる。そうなると、今回の6人の小選挙区候補者がひとり余る。
さらに、比例単独で出た鷲尾英一氏と7人で5つの席を競うかもしれない。だから、よその選挙区の代議士たちも利害関係人なのである。いずれにせよ闇は深そうだが、だからといって、違法な金を要求された政治家にどっちもどっちと言うのはいかがなものか。
そして、実際に地元のボスたちは、民主党から鞍替えでありながら、あるいは鞍替え組だからこそ保守政界の現実に理解が深いということか、鷲尾英一郞氏を新5区支部長に選んで泉田氏の追い出しに躍起だ。
今回の総裁選挙では、鷲尾氏は小泉陣営の選対本部長をつとめ、泉田氏は石破陣営の政策作りの中心の一人として大活躍した。石破氏が極端な主張を控えて、勝利したことの立役者である。
誰も政治改革といいながら、本気で政治改革を実践し腐敗と戦ってきた泉田氏を自民党をどう扱うか、これが政治改革に対する本気度のリトマス試験紙というものだ。