これをOECDが問題にし、法人税率の下限を15%にする国際カルテルが結ばれたが、これはおかしい。上の図でもわかるように、法人税率を下げれば税収は増えるからだ。
法人税の増税は産業空洞化を促進する
この逆に、法人税率を上げると税収は下がる。それは高収益のグローバル企業が海外に逃げるからだ。たとえば2023年8月期のファーストリテイリングの海外ユニクロ事業の営業利益は約2269億円で、国内の約2倍である。ユニクロの店舗数も海外が1633店で国内の2倍である。
円安で、この傾向に拍車がかかっている。法人税の増税はユニクロのようなグローバル企業の資本逃避を進め、国内の雇用喪失をまねくのだ。法人税は企業の配当前利益に課税する二重課税であり、このような租税回避のゆがみが大きい。
これを巻き戻すことは容易ではないが、政府にできる政策は、法人税をOECDの下限15%まで下げることだ。最終的には法人税は廃止し、キャッシュフローベースの付加価値税(消費税)に統一することが望ましい。内部留保課税(三重課税)なんて論外である。