天然記念物に指定される生物の多くは全国的または地域的に稀少である種であり、通常であれば在来種が指定されることがほとんどです。しかし、チョウセンブナは外来種にもかかわらず町の天然記念物に指定された珍しい魚として知られています。

長野県飯綱町ではチョウセンブナとその生息地が天然記念物に指定されており、本種の関する研究や調査が行われており、過去には学校ビオトープ作りも行われたそうです。

確かにチョウセンブナはかつて多くいた魚でありながら近年数を激減させており、希少魚としてのイメージが付いているのも事実と言えるでしょう。さらに観賞魚として需要もあることや在来生態系への影響が少ないと言われていることから、安易に放流が行われる恐れがあるとも言えます。

チョウセンブナはオオクチバスやチャネルキャットフィッシュなどと異なり侵略性が低いとされていますが、外来種が在来種と生態系に及ぼす影響は未知数であるため、放流・拡散は防止すべきでしょう。

「外来種なのに日本の天然記念物に指定?」大陸原産の『チョウセンブナ』の不思議チョウセンブナ(提供:PhotoAC)

参考文献

琉球列島の陸水域の魚類とその面白さ

岐阜県で確認された外来魚チョウセンブナ (ゴクラクギョ科)の記録

チョウセンブナ(ゴクラクギョ科)-茨城県

長野県上水内郡飯綱町のトウギョ(チョウセンブナ)

日本列島における外来魚チョウセンブナの分布の拡散と退縮

<サカナト編集部>