これが事実だとすると、様相はずいぶん違ったものに見えてきはしないだろうか。
告発の時系列の整理
さらに、現時点で「公益通報」として報道されているものも、本年3月の時点では「無記名の根拠なき噂」を書き連ねた「怪文書」であった。
例えば、皆さんがお住まいの市の市長と反社勢力に属する者が毎晩酒を飲んで、公共事業の斡旋について金銭のやりとりの密談をしている、という無記名の文書が届いたらどう思うだろう?それは、いわゆる怪文書だ。
公益通報とは、法律に規定されている。また、すべての行政機関に窓口が設置されてもいるし、通報者が匿名であっても法に定める要件を満たしていれば公益通報と認められる。
しかし、本年3月に警察や議員やメディアにばら撒かれた「告発文」は、公益通報の手続きによらず、また証拠も提示されていない単なる怪文書だ。
そのような怪文書について、告発された側の人物が「誹謗中傷の疑いが強い」と考えれば、発出元を特定しようとするのも当然といえる。
皆さんの中に、私が書いたような前提をご存じの方がどれだけいるだろう。ほとんどの方は、職員からの告発は最初から「公益通報」だったと勘違いされているのではないだろうか?
※100条委員会では、「公益通報にあたる」という見解と、「あたらない」という見解が出た。この件については、あくまで私個人の見解として、「あたらない」という立場をとらせていただいたことを付言しておく。
一方、この記事を読む限り、公益通報手続きがなされた4月以降もなお、当該文書を怪文書扱いしていたのは間違いだろう。
(社説)公益通報と調査 知事の失態は明らかだ:朝日新聞デジタル
兵庫県の元県民局長の男性(7月に死亡)が斎藤元彦知事らを告発する文書を出した問題は、当の斎藤氏らが、文書は公益通報にあたるかきちんと検討しないまま、調査から処分へと失態を重ねた経緯が明らかになってき…