現在、我が国の鯨肉消費量はピーク時の100分の1ほどに低迷しています。これは商業捕鯨の中止期間に鯨肉の価格が高騰し庶民的な食材でなくなってしまったことが影響していますが、商業捕鯨が再開されたあとも消費量は戻っていません。

捕鯨対象に「ナガスクジラ」が追加される 国内外から強い懸念が寄せられるワケとは?鯨の刺身(提供:PhotoAC)

そのため、現在捕獲されている3種でその需要は十二分に満たせており、むしろ鯨肉は市場でダブついている状態です。ナガスクジラを追加する理由は見いだせません。ナガスクジラは味が良いという話もありますが、ミンクやニタリも十分に美味であり、それは根本的な議題とはならないと考えます。

水産庁がまず行うべきことは捕鯨対象種の追加などではなく、失われつつある鯨食文化に脚光を当て、復権させ、食材として一般的なものに戻すことなのではないでしょうか。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>