「海外のホームステイ先で野菜を食べたいと言ったら、山盛りのフライドポテトが出てきた」というジョークを聞いたことがあるでしょうか?
これは、植物由来の食品だからといって、必ずしも健康上の利点があるとは言えないことを分かりやすく示した例です。
しかし、健康のためにと言って加糖された野菜ジュースを毎日飲むなど、似たような過ちは私たちもよくやってしまいます。
では野菜や果物を原料の1つにしている「超加工食品(過度に加工された食品)」は、普通の超加工食品に比べて健康へのリスクは減っているのでしょうか?
最近、ブラジルのサンパウロ大学(University of São Paulo)医学部に所属するフェルナンダ・ラウバー氏ら研究チームが行った研究では、特に植物由来の超加工食品に焦点を当て、それらを多く摂取する人の心血管疾患リスクについて調査しました。
この研究結果によると、「野菜や穀物が使われているから」という言い訳は、やはり通用しない可能性が高いようです。
この研究には、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)も参加しています。
詳細は、2024年6月10日付の学術誌『Lancet Regional Health-Europe』に掲載されました。
目次
- 超加工食品とは
- 元は健康的な食材でも超加工食品は心血管疾患のリスクを高める
超加工食品とは
世界には様々な食料品が存在していますが、その中には超加工食品(UPF:Ultra-processed food)と呼ばれるものがあります。
この超加工食品とは、過度に加工された食品のことです。
ブラジルのサンパウロ大学(USP)の研究者によって2009年に考案された「ノバ分類法」では、食品が加工の程度に応じて4つのグループに分けられており、超加工食品はその中で最も高度に加工されたグループに入ります。
例えば、ノバ分類法で分けられた食品には以下のものが該当します。
①非加工食品または最小加工食品。果物、野菜、穀物、豆、肉、卵、牛乳など。
②加工食品原料。オリーブオイル、塩、砂糖、でんぷん、ハチミツ。バターなど。
③加工食品。野菜や魚の缶詰、干物、パン、菓子、スナック、肉製品など。
④超加工食品。清涼飲料水、濃縮還元のフルーツジュース、代替肉、シリアル製品、食品添加物を含むパンやスナック、カップ麺、冷凍ピザなど。
超加工食品に分類される食品を見て分かる通り、これらの多くは、加工プロセスの中で自然食品に含まれる貴重な栄養素や食物繊維が失われています。
それだけでなく塩・砂糖・油・添加物が追加されることで、健康に悪影響を及ぼしやすいものとなっているのが特徴です。
そのため、健康を考えて、なるべく超加工食品を避けるよう意識している人も少なくありません。
しかし濃縮還元ジュースや朝食シリアルなど、「野菜や穀物だから」という理由で健康に良さそうなイメージを持ってしまう場合もあります。
今回、ラウバー氏ら研究チームは、そのような植物由来の超加工食品が私たちの健康にどのような影響を及ぼすのか調査しました。