(写真=チャイトピ!より引用)

中国の動画アプリ・快手(kuaishou/ Kwai)が2月5日、香港証券取引所で上場を果たした。時価総額は1兆3900億香港ドル(約18兆9000億円)で、ここ1年の香港市場最大規模のIPOとなった。ショート動画業界初の上場企業として注目を集めた。

快手の実績:

  • 2020年11月時点の月間アクティブユーザー数(MAU)が4億8140万人。利用者数世界2位のショート動画アプリ。
  • ライブコマース事業のGMV(流通取引総額)世界2位のライブコマースプラットフォーム。

Tik Tokに進攻する快手

快手は中国版Tik Tok・抖音(douyin)の競合として知られているが、実は2011年に創立しており、2016年にリリースした抖音よりも先にサービスを開始させている。

創業者である宿華(SuHua)は中国の名門大学である清華大学を卒業後、Googleの中国事業とバイドゥでエンジニアの仕事した後、起業を果たした。2011年に創立した当初、快手はGIF画像の製作ツールであり、2012年以降にショート動画の配信プラットフォームに転換した。

少し遅れを取る形で2016年にサービスを開始させた抖音は、内容重視のアルゴリズムを元にコンテンツを表示させ、瞬く間にユーザーを増やし、急成長してきた。現在はデイリーアクティブユーザー数(DAU)が6億人を超えた世界的ショート動画アプリになっている。

一方の快手の初期成長は比較的遅れているように見える。しかし2019年から快手は3億人のDAUという目標を揚げており、マーケティングへの投資を拡大し、Tik Tokに攻勢をかけた。

快手の利用者数と伸び率(写真=チャイトピ!より引用)
快手の利用者地域分布(写真=チャイトピ!より引用)

快手の発表によると、2019年の平均月間MAUは3億3000万人、2線都市~4線都市の利用者数が全体の85%を占めており、地方ユーザーが多いことがわかる。2020年1~11月の売上は525億元(約8446億円)で粗利益は209億元(約3362億円)で、粗利率は39.9%。

株主については、テンセントが21.57%の株式を保有する大株主であり、創業者の宿華が12.65%で第2位の株主である。また、検索エンジン・バイドゥが3.78%の株式を保有している。

ユーザー成長が鈍化、赤字経営が続く

中国ショート動画業界のMAU数と成長率推移(出典:QuestMobile)(写真=チャイトピ!より引用)

中国のショート動画業界全体でユーザー成長が鈍化している。2020年1月からコロナ特需で利用者数が急成長したが、その後のMAUは8億6000万前後で止まっている、伸び率も年始の22.5%から9月には8.6%に落ちた。快手のMAU伸び率も2018年の76%から2019年には37%に下落。今後もユーザー数は増えにくいと予想できる。

そして快手は赤字経営が続いており、2020年1月~11月の営業損失は94億元にも拡大した。快手の売上の6割をユーザーがバーチャルアイテムを買って配信者に送る、いわゆる投げ銭課金が占めている。期待されているライブコマース事業からの売上は全体のわずか3.2%にしか及ばないのだ。

提供・チャイトピ!

【関連記事】
話題沸騰「屋台経済」、好調の波にのる中国大手企業ら
コロナで需要急増のテレワーク、コロナ後は定着できるか
中国企業2020年Q1決算まとめ(アリババ、テンセント、バイドゥ含)
中国超人気動画配信者「李子柒」他とは違うマネタイズ方法
利用有料化に批判殺到、中国配達ロッカー普及の課題