これまでの給与支払いは、法律によって現金払いか銀行振り込みしか認められていなかった。しかしついにともいうべきか、キャッシュレス化に新たな動きだ。政府が今年の春から、給与支払いについて、スマホ決済をはじめ電子マネーなどで支払えるようになる「給与のデジタル払い」を検討しているようだ。この春解禁という報道が次第に過熱しつつ、給与のデジタル払い実現が現実味を帯び始める中で、今後の変化について考えていきたい。

給与のデジタル払いのメリットとは?

オトナライフ
私たちの給与にすらデジタル化の波が押し寄せてきている(写真=オトナライフより引用)

 「給与のデジタル払い」が解禁された場合、銀行口座を介さずに直接スマートフォンの決済アプリなどに入金することが可能になる。国に認められた資金移動業者の提供するスマホ決済、ペイロールカードと呼ばれるプリペイドカード、電子マネーなどで給与を受け取ることができる模様だ。

 この給与のデジタル払いだが、労働者側にはどのようなメリットがあるのだろうか。現段階で最も考えられるのは、副業や非正規労働者、外国人労働者へのメリットだ。彼らに代表されるように、さまざまな働き方が広がっていく中で、給与の支払い方法についても多様な方法が求められており、給与のデジタル払いによって柔軟な対応が可能になると思われる。
 例えば外国人労働者への給与の支払い。彼らにとって国内の銀口座開設には多くのハードルがあり、営業時間や言語の壁など難しい面が多く見受けられていた。つまり銀行振込以外の賃金支払いの手段を求められていたケースが、今回のデジタル払い解禁によって決済方法の制限についての問題が解決するかもしれない。ほかにも、非正規労働者などは少額のアルバイト収入などの入金がリアルタイムで可能になるのでは、と言われている。もちろんその収入をそのままキャッシュレスとして利用することが可能なので、今回のデジタル払いが解禁されることになれば、キャッシュレス化の加速は不可避ではないだろうか。