1月19日、日本のディスカウントストア「ドン・キホーテ」の台湾1号店がオープンしました。
オープン当日には、開店前から500人以上が行列を作り、入場制限が行われるほど人気の状況が続いています。
その人気の背景には、長期間出国できない台湾人が感じている「日本ロス」がありますが、長期的に人気が続くかどうかは予測できない部分もあります。
本記事では、台湾のドン・キホーテの人気の理由と、今後の課題について考察します。
目次
台湾1号店が開業 開店前から500人超の列:感染拡大懸念の声も
▶︎「夜中も人が多い」「日本にいるような気分」:攻略法の動画も続々
▶︎感染拡大懸念の声:入場制限を行う
なぜ人気?コロナ下の「日本ロス」
「日本ロス」のチャンスをつかむために
台湾1号店が開業 開店前から500人超の列:感染拡大懸念の声も
1月19日、「ドン・キホーテ」の台湾1号店となる「DON DON DONKI 西門店」が台北市西門町にオープンしました。
24時間営業で、日本から直送した農水産品物や生活用品などを取り扱っており、売り場は地上1階から3階までの3フロア構成となっています。
運営会社の台湾パン・パシフィック・リテール・マネジメントによれば、同店で販売される化粧品は4割が独占販売商品で、価格は日本とほぼ同じだということです。
菓子は今後3割を独占販売とし、そのほかの3割を市場最安値で販売するとしています。
オープン当日は午前10時の開店前から500人以上が行列を作る人気ぶりで、夜中まで並ぶ人が絶えず、台湾現地報道によればレジまで5時間かかることもあったということです。
「夜中も人が多い」「日本にいるような気分」:攻略法の動画も続々
ドン・キホーテ台湾1号店は、オープン初日だけでなく現在も混雑が続いています。
Instagram上では、実際に行った台湾人による投稿が相次いでいます。

夜中のほうが空いていると思われてるけど、実際2回行った経験からすると 水曜夜9時並び、9時半入場。土曜夜11時並び、12時半入場。
もしかしたら平日の9時台に行ったほうがいいかも。

24時間営業なので、朝から晩まで飽きずに楽しめる!でも混んでいる時間を避けないとめっちゃ並ぶ。
ps.1年間出国できず、ここにきたら日本にいるような気分

出国できないけど、台湾で日本を感じられる場所がある。「偽日本」の概念。
日本のドンキホーテとそれほど変わらない。 インフルエンサーも続々と攻略法を紹介する投稿や動画をアップロードしており、「(在台日本人)日本人が教える!ドンキホーテのショッピング仕方:おすすめ買い物リストを公開」の動画は70万回以上視聴されています。

「台湾ドンキホーテがやっと開幕:CP値の高い商品を大公開!」の動画も、60万回以上視聴されています。

感染拡大懸念の声:入場制限を行う
お店に行列ができるなどにぎわいを見せる一方で、感染拡大に対する懸念も強まっています。
北部・桃園市の病院での院内感染をきっかけに国内感染者が増え、ドン・キホーテ店内での密集に対し懸念の声があがるようになりました。
1月21日午前、市の衛生局と商業処が同店を視察し、衛生局は同店に感染対策を強化するよう要請しました。
さらに店内の人数を250人以内に制限することも求め、同店はこれを受けて同日から、入場時間を記したリストバンドを配布し、指定された時間に来店するよう求めています。
入場制限では毎回50名の入場に分けられ、利用は1回2時間に制限されています。
なぜ人気?コロナ下の「日本ロス」
シンクタンクである商業発展研究院経営模式創新研究所の李世珍副所長は、ドン・キホーテの台湾1号店について、新型コロナウイルスの影響で長期間出国できていない台湾人の海外旅行欲を満たすだけでなく、その真新しさも来店客を呼び込む要因になっていると指摘し、短期的にはブームを巻き起こせるという見解を示しています。
このような渡航制限による「日本ロス」がもたらした消費・旅行行為は、ほかでもみられており、 たとえば台湾で「聖地」への憧れがコロナ禍で加速し、「日本そっくりスポット」が大混雑するなどの現象も起きています。
また「微出国」「偽出国」というホットワードとして、台湾国内で日本旅行気分を満喫できるホテルプランも登場しています。
一方で、物価が理由でドン・キホーテのブームは長く続かない可能性もあります。
李氏はドン・キホーテが台湾で長期的に経営を続けるにあたり、商品価格がひとつの課題となると指摘しています。日本では激安価格でも、物価の違いが原因で台湾では高価格となってしまう場合もあります。
さらに、台湾人が日本のドン・キホーテで大量買いをするのは、海外旅行の記念品の購入が目的となっている場合が多く、台湾での買い物は海外旅行気分がなく、購買意欲や衝動が減ってしまうとの見解も示しました。
「日本ロス」のチャンスをつかむために
ドン・キホーテ台湾第1号のにぎわいぶりに裏付けられるように、日本の商品や訪日旅行の人気が高い台湾では、「日本ロス」を背景としたビジネスチャンスがあります。
同様に「日本ロス」を抱える国や地域でも、日本の商品やサービスが現地に進出することで、一定の人気を集められる可能性があります。
一方で物価の違いなど、長期的にビジネスを続けるための障壁もあり、広い視野で入念にビジネス戦略を検討する必要があるでしょう。
文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ
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