日本政府観光局(JNTO)は1月20日、訪日外客数の2020年12月推計値を発表しました。

12月の訪日外客数は前月比横ばいとなる58,700人で、2020年の訪日外国人観光客は、前年比9割減の411万人となりました。

入国制限の緩和にともない、2020年後半からは回復の兆しが見えたものの、大幅回復には至りませんでした。

本記事では、12月と2020年全体の訪日外客数について、各市場のデータと動向をふまえて解説します。

目次
2020年の訪日外国人観光客、前年比9割減の411万人
 ▶︎2020年訪日外国人観光客、国籍別トップは中国
12月の訪日外国人観光客58,700人:前月比横ばい
 ▶︎東アジア:中国は国籍別トップを記録、市場全体では前月比横ばい
 ▶︎東南アジア・中東地域:ベトナムでの増加目立つ
今後の展望:全世界からの入国一時停止、1月は再び落ち込むか

2020年の訪日外国人観光客、前年比9割減の411万人

2020年の訪日外国人観光客は、前年比87.1%減の411万5,900人となりました。

これは訪日外国人旅行者の増加を目的とした訪日プロモーション事業「ビジット・ジャパン」を政府が開始し、インバウンドに本格的に着手し始めた2003年以降、最低の数値です。

2020年に入ってから、1月は前年同期比1.1%減で済んでいたものの、その後2月~3月にかけて大きく減少し、4~12月は-90%台後半のまま推移しました。

入国制限の緩和にともなって、2020年後半からは回復の兆しが見えたものの、大幅回復には至りませんでした。
 

訪日ラボ
▲訪日外客数の推移:訪日ラボ編集部作成(写真=訪日ラボより引用)

2020年訪日外国人観光客、国籍別トップは中国

国別の2020年訪日外国観光客数について解説します。

2020年訪日外国人観光客(国別)
 

順位 国籍 訪日客数 前年比
1位 中国 106万9,200人 -88.9%
2位 台湾 69万4,500人 -85.8%
3位 韓国 48万7,900人 -91.3%
4位 香港 34万6,100人 -84.9%
5位 タイ 21万9,800人 -83.3%

▲2020年12月訪日外客数(JNTO推計値):JNTOプレスリリース(2021年1月20日)

2020年の訪日外国人観光客のトップは中国でしたが、前年比では大幅減となりました。

例年、上位は中国・韓国・台湾・香港・アメリカという顔ぶれですが、2020年はアメリカの代わりにタイがランクインし、アメリカは6位に後退しました。

前年比減少率が一番低かったのはベトナムで、前年比-69.2%減にとどまっており、早期の入国制限緩和が一因したとも考えられます。

12月の訪日外国人観光客58,700人:前月比横ばい

2020年12月の訪日外客数は58,700人で、前年同月比97.7%減となり、15か月連続で前年同月を下回りました。

実数としては、前月の56,700人からほぼ横ばいとなっています。
 

訪日ラボ
▲2020年 訪日外客数の推移:訪日ラボ編集部作成(写真=訪日ラボより引用)
訪日ラボ
▲2020年12月訪日外客数(JNTO推計値):JNTOプレスリリース(2021年1月20日)(写真=訪日ラボより引用)

東アジア:中国は国籍別トップを記録、市場全体では前月比横ばい

東アジア市場全体では、前月比横ばいの状態となっています。

すべての市場で11月1日から危険レベルが2に引き下げられ、上陸拒否及び上陸時のPCR検査受診対象指定が解除されました。

なお緊急事態宣言の発出により、2021年1月9日からは再び検査が必須となっています。

中国からの12月の訪日外客数は、前年同月比97.4%減の18,400人で、国籍別でトップとなっています。

前月からは横ばいで、中国国内の感染者数もほぼ横ばいで落ち着いています。

東南アジア・中東地域:ベトナムでの増加目立つ

東南アジア・中東地域では、ベトナムが前月から1,000人増の15,700人で、中国に次いで国籍別2位となり、前年同月比5割程度まで回復しました。

そのほか、フィリピンとインドも前月から600人増加し、市場全体としては2万2,400人から2万4,000人に微増しました。

今後の展望:全世界からの入国一時停止、1月は再び落ち込むか

12月まで徐々に入国制限緩和が進み、それにともない訪日客数もわずかながら回復傾向を見せていました。

しかし12月26日に新たに水際対策措置が発表され、12月28日から2021年1月末まで、すべての国・地域からの新規入国が一時停止となりました。

レジデンストラック、ビジネストラックのスキームによって発行された査証も、1月21日から効力を停止しています。

中国・韓国・ベトナム・シンガポールで実施されていた「ビジネストラック」と、中国・韓国・台湾・ベトナム・タイ・シンガポール・マレーシアで実施されていた「レジデンストラック」のスキームによって発行された査証も、1月21日から効力を停止しています。

ビジネストラックは、主に短期出張者を対象とした、14日間の自宅隔離を免除され限定的なビジネス活動が可能となるもので、レジデンストラックは、主に長期滞在者を対象とした、入国後14日間の自宅等待機は維持しつつ双方向の往来を再開するものです。

全世界からの入国一時停止により、2021年1月の外客数は、かなり落ち込むことが予想されます。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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