サントリー食品インターナショナルの「伊右衛門」本体(緑茶)が、ブランド史上最大と位置づけている大幅リニューアルの効果で好調に推移している。
リニューアルポイントは“淹れたてのような緑茶の色、味、香りにこだわった”点にある。
中味は、香り成分や旨味が豊富と言われる一番茶を「伊右衛門」本体史上最大の比率で使用し、その良さを最大限に生かした焙煎技術と抽出方法で、淹れたてのような豊かな香り・旨みと雑味のない穏やかな渋みの両立を追求した。
緑茶飲料ユーザーからは「緑の液色がさわやかできれい」「すっきりおいしい」との声が寄せられ、本体が牽引する形で「伊右衛門」ブランドの20年1-11月販売数量は前年同期比9%増の5千71万ケースを記録した。
取材に応じた木村穣介取締役専務執行役員ジャパン事業本部長は、今回の「伊右衛門」本体の中味イノベーションは、19年に発売開始した「サントリー天然水 GREEN TEA」が下地になったと振り返る。
「サントリー天然水 GREEN TEA」のターゲットは緑茶ユーザーではなく、天然水ユーザーに向けた『天然水をベースに少し味わいを加えた普通の緑茶とは異なる』提案であったが「お客さまからは『おいしそうな緑茶だと思って飲んだが、思っていた味ではなかった』というお声が多かった」という。
「サントリー天然水 GREEN TEA」では、緑茶に見られまいと、緑茶からあえてずらしたパッケージなどに仕立てたが、鮮やかな緑の液色が前述の消費者の声から「本格的なちゃんとした緑茶と思われたのが発見となり『伊右衛門』での展開に自信を持つことができた」という。
木村専務は、飲料全般に当てはまることとして、おいしそうに見えることと実際においしいことの二つを重視。「実際においしくても、見た目でもおいしいと感じてもらわないとダメ」だと指摘する。
「伊右衛門」で挑んだのは、淹れたてのような緑茶の色を見て、買ってみようと認識してもらうこと。中味は「サントリー天然水 GREEN TEA」で徹底的に取り組んだ技術イノベーションを活用して刷新し、それに緑茶本来の味わい、おいしさに結びつけて鮮明な液色を打ち出すことに成功した。
マーケティング活動は、コロナの影響で思うようにはできなかったことから拡大余地を十分に残している。
「お陰さまでヒットに結びついたが、まだ5割の人にしか認知されていないことから、21年は『伊右衛門』をもう一段階引き上げていく。お伝えすべきことがたくさんあるので、伝え方、伝える場所、話法などを工夫してやっていく」と意欲をのぞかせる。
提供元・食品新聞
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