ファミリーマートの新社長に3月1日付で就任する伊藤忠商事執行役員の細見研介氏は18日、副会長に就任する澤田貴司社長とともにオンラインで会見。コンビニ業界に押し寄せる変化の波に、これまで培った経験を生かしたスピーディーなかじ取りへの意欲を示した。

「今年はファミリーマート創業40周年の節目。Eコマースをはじめ他業態との競争激化、デジタル化の加速、コロナ禍の深刻化で人々のライフスタイルが急激に変化するなか嵐の船出となるが、次の40年へ持続的成長の礎を築くことが私の使命だ」。会見で細見氏は抱負を語った。

16年9月1日のユニーとの経営統合時に社長就任、旧サークルKサンクス(CKS)からの店舗ブランド転換を果たした澤田氏は「細見さんには私もいろんな意味でバックアップしていただき、細見さんなくしてさまざまな改革はできなかった。新しい体制で、社員・加盟店ともっと力を合わせて素晴らしいチェーンを築いていきたい」と展望を語った。

昨年に伊藤忠商事の完全子会社となり、11月から株式非公開化に踏み切った同社。急速に変化する競争環境の下、スピーディーな意思決定による変化への対応を強めている。今回の社長交代も、その体制構築の一環だ。

昨今の環境激変について細見氏は「今までの常識が通用せず、サッカーのゲームをやっていたのが気づくとラグビーに変わっていたようなもの。一発逆転のウルトラCはない。マーケットインの視点で基本に立ち返り、小さな種をまく努力を必死に続けるしかない」との認識を示す。「やるべきことを『稼ぐ・削る・防ぐ』の観点で明確化する。立ち返る原点は商品開発、利便性、親しまれるお店の3点。ウイズコロナ、アフターコロナ双方の環境下で、お客さまと地域への貢献とは何かを追求。加盟店と本部とで共有することが大事だ」。

伊藤忠商事で「ハンティングワールド」などのブランドビジネスを手掛けてきた細見氏。「ここ数年、繊維業界はデジタル化の波に洗われた。その波があらゆる業界をのみ込んでいくことが実感として体に染みついている。そうした危機感をバネに、コンビニ業界でもスピード感をもって経営判断していきたい」。

伊藤忠商事と一体で取り組むべき課題について問われた細見氏は「リアル店舗の位置づけが変わってきている一方で、その存在(意義)は誰も否定しておらず、デジタル勢もリアル店舗の意味を再定義している」として、店舗での顧客の購買データも活用しながらさまざまなパートナーと組んで新たな事業を創出していく方針を述べた。

今年は旧CKSから転換した約5千店が初めて契約更新を迎える。澤田氏は「(大量更新への)準備は十分に進めてきており、すでに実行段階にある」として、髙柳浩二会長とともに新社長を側面支援していく考えだ。更新を見送る加盟店も多いとみられるが、いったん直営化してから再度加盟店化を目指すケースも計画しているという。

提供元・食品新聞

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