つみたてNISAは、どこの金融機関でも税制優遇や投資できる金額などの制度内容自体は変わらない。主に異なるのは商品ラインアップだが、それ以外に積立金額を柔軟に変更できるかもチェックしたい。長期利用が前提の制度だからこそ、利便性の高さも見逃せない。

つみたてNISAの投資上限金額は月々約3万3,000円

つみたてNISAは長期の資産形成に適した制度だ。通常の投資では自分で投資をして得た利益に対して20.315%が課税される(2019年7月現在)。仮に投資によって資金が100万円増えても、手取りはおよそ80万円になってしまうのだ。一方でつみたてNISAは一定の投資額まで運用益が非課税になる。同じ100万円の投資で20万円も差がつくことを考えれば、利用しない手はないだろう。

つみたてNISAは自分で投資するより有利に投資できるが、制限がないわけではない。運用益が非課税になるのは投資から20年以内に限られる。売却せずに20年を超えると、保有商品を課税口座に移さなければならないため注意したい。年間の非課税投資枠も40万円までと決まっており、月々およそ3万3,000円が上限金額だ。できることなら毎月上限金額まで投資したい。

つみたてNISAは積立金額を増額変更できるほうが有利

つみたてNISAの非課税投資枠の40万円は1年単位で付与され、最大800万円まで投資可能である。投資金額に対する運用益が非課税になるため、投資効率だけを考えれば毎年の非課税投資枠を使い切るほうがいいだろう。使い切れなかった場合、余った非課税投資枠は翌年に持ち越すことができず、その年限りでなくなってしまう。

つみたてNISAは無理のない範囲で毎月一定金額を積み立てることが基本だが、年間投資枠をなるべく使い切るには、ボーナス月に上乗せするなど積立金額を柔軟に変更できる金融機関を選ぶことも検討したい。

つみたてNISAを年の途中から始める場合、毎月上限金額まで積み立てても年間投資枠40万円を使い切ることはできない。たとえば4月から3万3,000円積み立てると、12月までの累計は29万7,000円になり、残りの投資枠である10万3,000円が余ってしまうことになる。余った投資枠を使い切るには、特定の月に毎月の積立上限を超えた金額を上乗せできるよう変更する必要があるのだ。

多くの金融機関では積立金額の増額設定ができる。基本的に年2回まで指定した月に毎月の積立金額とは別に上乗せができる設定方法だ。つみたてNISAを始める前に、金融機関が増額設定に対応しているかどうかを確認しておきたい。

つみたてNISAで柔軟な金額変更ができる金融機関は?

金融機関によっては年2回までの増額の他にも柔軟な金額変更ができることがある。たとえば楽天証券では年間の投資枠に余裕がある場合、その年だけ一時的に毎月の積立額に上乗せして買付金額を増やす設定ができる。

つみたてNISAは制度の特性上、上限いっぱいで積立金額を設定しても投資枠がどうしても余ってしまう。SBI証券では、ボーナス月の増額設定を併用して残りの投資枠より積立金額を多く設定しておけば、細かい金額設定をしなくても自動で年間投資枠ぎりぎりまで使い切ってくれる注文設定が可能だ。
 

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つみたてNISAの金額変更が柔軟にできるのは主にネット証券

つみたてNISAは利用者にとって有利な制度であるからこそ最大限活用したい。投資枠を使い切るために、積立方法のバリエーションが豊富なことも金融機関選びの1つのポイントになる。年2回までのボーナス月の増額設定は多くの金融機関が採用しており、これだけで事足りる場合もある。

今回紹介したような、一部のネット証券で利用できる多様な積立方法が必ずしも必要なわけではないが、選択肢が多いに越したことはないだろう。このような利便性も考えて、つみたてNISAの金融機関を検討したい。

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國村功志
執筆・國村功志
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも開催。CFP®、証券外務員一種保有。
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成FPとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも行っている。CFP®、証券外務員一種保有。

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