これから株式投資を始める人の中には、長期的かつ本格的な投資に取り組みたいと考えている人も多いと思う。だとしたら直感やイメージに頼った投資ではなく、投資情報の分析能力に基づいた資産運用を目指す人に役立つ資格や検定を受けてみてはいかがだろう。
『kabu検(初級・中級・上級)』――オンライン検定試験で幅広い知識を身に付ける
株式投資全般の知識や技能の実力を判定することを目的としたオンライン検定試験であるKabu検対策の本。試験終了後の「スキル診断」では、自分の株式投資知識の弱点や偏りを客観的に把握できるとともに、学習のアドバイスを受けることも可能。
Kabu検定で実力を把握したら、弱点補強や株式投資知識のブラッシュアップのために「株式投資通信講座」も用意されている。
自分の苦手の分野や弱点を克服し、ワンランク上の投資家を目指す人なら一度はチャレンジしたい。
『証券外務員試験(二種・一種)』――証券営業員の基本資格取得を目指せる
金融商品取引業務を行う人には必須である、証券外務員の資格取得向けの本。証券営業に携わる銀行や証券関係者だけでなく一般の人でも受験できる。
証券外務員試験は四種類あるが、株式投資のための知識習得を目的とするならば、金融商品取引に関する基礎知識全般が問われる二種と、オプション・デリバティブ分野を対象とした一種の受験を目指して学習するとよいだろう。
二種であれば独学で学習し合格を目指すこともできる。一種は難易度が高いため日頃から業務に関わる人でないと独学での合格は難しい。まずは二種に合格してから、じっくり一種の学習に取り組むのがベターだ。
『日商簿記検定2級』――財務諸表を作成する知識を学べる
簿記とは企業の活動状況によって変動する「利益」「財産」に関する情報を、帳簿に付ける技術や方法のこと。簿記を学ぶことによって「取引」「勘定」「決算」といった基本的な概念について理解できる。
さらに企業の財務状態を客観視できるようになるので、株式投資に必要な銘柄ごとの企業分析や投資判断に役立てられる。
日商簿記検定は他の簿記検定主催団体に比べて知名度や評価が高く、個人事業主を想定した「商業簿記」だけを扱う3級は比較的勉強しやすいが、「商業簿記」と「工業簿記」の両方が含まれる2級のほうが中小以上の企業、全業種に対応するため、株式投資に活かしやすい。
ただし株式投資の企業分析に必要なPER、PBRを始めとする指標や連結財務諸表については別途、知識を補う必要があるだろう。
『ビジネス会計検定2級』――財務諸表を分析する力を身に付ける
ビジネス会計検定では、財務諸表に関する知識や分析力が問われるため、財務諸表の見方や、ビジネスにおよぶ影響を理解できる。公式テキストを学習したり、各教育機関が公表・配付する模擬試験問題や模範解答集などを利用した勉強が可能。
3級では財務諸表の基礎知識と、財務諸表を使ってできる基本的な分析が出題範囲となっている。2級は連結財務諸表について学ぶとともに、より多くの分析指標や企業の採算性を見積もる損益分岐点分析などより高度な領域についても学べる。
簿記の知識がある人や、業務上財務諸表に接している人は、実践的でより高度な分析手法を学ぶためにも2級取得を目指して勉強するとよいだろう。
『ファイナンシャルプランナー(FP技能士)検定』――個人の資産管理方法を幅広く学ぶ
ファイナンシャルプランナー(FP)は、相談者の価値観やライフスタイルや経済環境を前提に、家族の状況や収入と支出、資産、負債、保険などあらゆる個人の経済事情を分析して、それぞれに最適な資産設計のアドバイスをする。
FPは家計に関わる税制、年金制度、不動産、住宅ローンなど幅広い経済全般の知識や、さまざまな財務データを分析する技術力が習得できる。
FPは広範な金融知識や、経済状況を分析する力は身に付くが、金融データの分析方法や株式投資について掘り下げた知識を学ぶためには、3級または2級の学習と取得を目指すのがよいだろう。
経済や会計の知識を学んで株式投資や資産運用に活かす
資格や検定を取得するということは、株式投資や資産運用に大いに役立てることができる。
学習の過程で経済や会計の基礎知識を体系的に学べ、マーケット分析や企業分析に役立つデータ分析技術が身に付く資格や検定ならば、受験のための学習にも意味がある。その上で資格試験や検定に合格できれば一石二鳥だ。
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