成人一人当たりのクレジットカード所有枚数は2017年3月末で2.6枚。その他、ポイントカードやローンカードなどもあることを考えると、我が国はカード社会が定着していると言えるだろう。しかし意外と知らないこともある。ここでは5つの疑問について検証してみる。

クレジットカードでサインをしなくていいのはなぜ?

昔は、クレジットカードで精算する際には、売上票にサインをしていた。しかし最近ではサインをしなくてもいいケースが多くなっている。

クレジットカードで、サインが必要な場合と不要な場合の違いについて見てみよう。

控えにサインが不要な場合

控えにサインをしなくてもいい場合は、お店がクレジットカード会社とサインレス決済契約を結んでいる場合だ。最近は、コンビニ、スーパー、高速道路の料金所などで精算に時間がかかると都合悪いケースが増えており、それに対応するために設けられたのが「サインレス決済」という方法になっている。

ただし利用金額には上限があり、金額が大きい場合には暗証番号の入力やサインを求められる。

クレジットカードで購入したお店の対応

お店で商品を購入し、クレジットカードで精算した場合、お店ではカード読み取り機に通してカードが使用できるか確認する。暗証番号がある場合は番号を求め、売上票にサインが必要な場合には、サインを求めるように決められている。

しかし、サインレス決済の契約をしているお店では、端末にカードを通すだけで決済ができるようになっている

妻など本人以外がサインをした場合はどうなる?

クレジットカードでサインが必要なケースでは、本人ではなく妻がサインをする場合がある。このような場合には、クレジットカードの不正利用になるのだろうか。

サインが違っていたらどうなるか

意図的に違っていた場合、間違った場合(複数のカードを持っていてサインを間違った)などは、不正利用と見なされてしまう。本人に確認の連絡が行き、知らないと言われた場合には不正利用と見なされて、お店の責任としてクレジットカード会社は代金の支払いをストップする。

従って、お店はサインの場合には、カード裏面のサインとの照合を行う必要があると言える。しかし、現在では暗証番号による確認が多くなっているため、サインとの照合は忘れられているケースも多い。

お店から連絡が来たらどうするか

お店の不備でサイン違いが判明した場合には、お店からカード所有者に連絡が来る。その際には、奥さんに確認して使ったことを報告すれば、それですむ。

また、奥さんが知らない場合には、フィッシングなどで不正利用が行われたことになり、すぐにカード会社に連絡をして、カードを止める必要がある。

クレカの会社から連絡がくるのか?

既に述べたように、基本的にはサイン確認の責任はお店の責任であり、クレジットカード会社から一括返済を求められることはない。

クレジットカードが不正利用される場合はどんな時?

クレジットカードの情報がハッキングによって数十万人分盗まれたなどというニュースが流れており、不正利用される可能性について言及している。しかし、そのようなハッキングでなくても、私たちの周囲ではカード番号や暗証番号が盗まれたり、カードそのものが盗まれたり、スキミング(偽造)されたりという事件はよく起こっている。

そのような不正使用は、気づかないうちにカードを不正使用されて、請求書が来て初めて知るということも珍しくない。不正利用されるのはどのような場合であり、それに対してどのように対処すればよいのかを見てみよう。

不正利用されるのはこんな場合

買い物などにおいてクレジットカードで決済しようとした時に、カードを持って奥に入っていく場合は注意が必要だ。店にもよるので一概には言えないが、カード情報を読み取ってスキミングされる可能性がある。読み取った情報を使って偽造されたカードで買い物をされることも珍しくない。

インターネット上にはさまざまなショップがある。クレジットカードでの決済は、Amazonや楽天などの大手のショップなどは高度に暗号化されたカード番号管理が行われているが、個人でやっているショップなどは暗号化が不十分なこともあり、ハッカーなどがカード番号や暗証番号を簡単に盗むことができる。

中には、それらのカード番号、暗証番号を盗むために設けられたショップもあるほどだ。その意味で、クレジットカードで購入するネットショップを事前には決めておくことが必要で、それ以外の場合には購入しないか、銀行振込み、代引きなどを利用して購入するように普段から注意しておく必要がある。

フィッシングに注意

さらにフィッシング詐欺も増えている。銀行やクレジットカード会社を装って、偽の警告メールを送り付け、言葉巧みにカード番号や暗証番号を入力させたりする手口が増えている。

オレオレ詐欺を高度にしたような手口で、本人も騙されたという認識がない場合が多い。しかし、しばらくするとクレジットカード会社から高額な商品代金の請求が来たり、その確認の電話が入ったりして初めて詐欺にあったとわかる場合も多いのである。

不正利用された場合に取るべき行動は?

不正利用されたと気づいた場合、どのようにすればよいのか。まず、やるべきことはクレジットカード会社に連絡して、不正利用を申告してカードの利用を停止することが一番大切だ。それ以上使われないようにすることが、最初に取るべき行動となる。

基本的にクレジットカードには盗難保険が付いており、そちらで補填される場合がある。しかし、その盗難保険が適用されない場合もある。たとえばこういう場合だ。

  • カードの暗証番号を盗まれた時(自己責任)
  • カードがスキミングされた場合
  • 保証期間は60日から90日以内
  • カードが盗まれた場合、裏面にサインがない場合

    これらの場合には不正使用分の請求を受ける。やるべきことは警察に届けることだ。

    しかし、基本的には普段から自己責任でカードや暗証番号は盗まれないように注意を払って不正利用をされないようにするのが一番だ。

クレジットカードのショッピング枠とキャッシング枠の違いって何?

クレジットカードが送られてくると、ほとんどの場合ショッピング枠とキャッシング枠が記載されている。以前は、全体の限度額が100万円であれば、ショッピング枠もキャッシング枠も100万円まで使えていた。しかし、ここ10年ほどは、ショッピング枠は限度額まで使えるが、キャッシング枠は20万円とか30万円に抑えられている場合が多い。

このショッピング枠とキャッシング枠の差は、また違いは何なのだろう。

同じクレジットカードでもショッピング枠とキャッシング枠では法律が違う

ショッピング枠は買い物の際に支払手段として利用できる機能であり、キャッシング枠は現金を引き出す機能で、これらは同じカードの中でも、管轄する法律に違いがある。

クレジットカードそのものとショッピング枠については、経済産業省の割賦販売法によって規制され、キャッシング枠は貸金業法によって規制されている。

従って、ショッピング枠では実質の金利は手数料と呼ばれ、キャッシング枠では金利と言われて利息を払う形になっている。

クレジットカードではリボの金利差が変わらなくなった

クレジットカードのショッピング枠の手数料はもともと上限15%程度で変わらないが、キャッシング枠は、2006年の貸金業法の改正によって、上限金利はそれまでの29.2%から18%(10万円超100万円まで)に引き下げられている。

だからクレジットカードではショッピング枠が優先される

以前は、クレジットカード会社はショッピング枠は薄利多売で、キャッシングによって儲けを出していた。しかし、貸金業法の改正によって、キャッシング枠とショッピング枠の差は少なくなり、しかもショッピング枠はリボ払いが定着してきたことにより、金利差は無くなってしまっている。

したがって、現在のクレジットカード会社は、貸倒率の高いキャッシング枠よりもショッピング枠を重視する方向に変わってきている。

しかも、キャッシング枠は貸金業法の総量規制の制限があるため、ショッピング枠に比べて利用枠を小さくするようになったのだ。

海外で有利なのはクレジットカードとデビットカード、どちら?

デビットカードは、買い物で使用した時にVISAなどのクレジットカード会社を経由して、銀行口座から直接決済されるカードのことで、キャッシュカードと一体になったものが多い。銀行から発行されるが、最近その発行枚数は増えている。

クレジットカードとデビットカードの違いはどこにあって、特に海外などではどちらが便利に使えるのかを見てみる。

クレジットカードとデビットカードの違い

審査がなく、本人確認ができれば銀行で発行してくれる。銀行口座の預金以上には使えないので、クレジットカードに比べると、使い過ぎに陥らない安心感がある。しかも、クレジットカードが使える店であれば、ほぼ使える。

クレジットカードとデビットカードの違いは、決済される時点とリボ払いができるかどうかだ。

「キャッシュレス時代の財布代わりのカード」に特化したのがデビットカードで、金融事故を起こしていても作ることができる。また、普段からカード依存症で、すぐにカードで衝動買いしてしまう人には最適のカードと言える。

デビットカードは海外キャッシングがお得

海外ブランドが付いていれば、デビットカードもクレジットカードも海外で使うことができる。国内同様、デビットカードは口座の預金残高以上の購入はできない。つまり使い過ぎを防いでくれるということだ。

海外でデビットカードとクレジットカードの差が現れるのは、キャッシングである。デビットカードは、海外でもATMによって現地通貨で預金を下ろすことができる。しかも、為替変動のリスクもない。手数料無しでその時点のレートで引き出しができるのだ。

最近では海外に行く場合には現金をほとんど持たず、カードで買い物をする傾向が強いが、それだけでは済まない場合もある。日本にはないチップという習慣があったり、屋台などで飲食したりする際には現地通貨が必要になる。最低限の現地通貨は必要なのだ。

たいていは海外に行く前に銀行や空港で現地通貨と交換するが、その場合には手数料を取られる。さらに、クレジットカードのキャッシング枠を使う場合には、為替リスクとともに利息も取られることになる。しかし、デビットカートでは利息もかからず、手数料もかからないのだ。

このようにデビットカードは、現地通貨は現地の空港のATMで現地通貨で引き出せば、手数料も利息もかからないので、お得に使うことができるのだ。しかも、ショッピングにも使える便利なカードである。

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執筆・モリソウイチロウ

「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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