だんだん寒くなってくると、人肌が恋しい季節になってきますね。コロナでマスクが日常的になっているからこそ、おうちでまったりできる相手が欲しい気持ちにもなってしまいます。

 根岸はるかさん(28歳・仮名)も、そんなじっくりと付き合える相手と出会えたと思ったようですが…。

◆猛烈アプローチを受けてお付き合い

猛烈アプローチを受けてお付き合い
写真はイメージです。(以下同じ)
 友人の紹介で知り合った大手企業勤務の男性にアプローチされた根岸さん。

「なぜかは分かりませんが、ものすごく私のことを好きになってくれて。好みのタイプではなかったのですが、いつも目を見つめて『好きだよ』と言ってくれ、嬉しそうに話を聞いてくれるので、だんだん好きになっていきました」

 とても優しい彼と何度かデートを重ねた根岸さんは、いよいよ彼の家に行くことになったそうです。

◆いいムードになったその瞬間、手に違和感が!

 食べ物やお酒を買って、乾杯して、楽しくおしゃべりして、いいムードに。そしていざ、身体の関係に…というときに、事件は起こりました。

いいムードになったその瞬間、手に違和感が!
「彼の背中に手を回すと、何やら今まで感じたことがないようなゾワゾワ感がしたんです。暗い部屋で何か言うわけにはいかず、でもその違和感が気になって集中できないまま夜を共にし…朝になりました」

 朝起きてからも、あの夜の“ゾワっとした違和感”が気になって仕方がなかった根岸さん。明るくなって、恐る恐る夜の違和感を確かめようとしましたが、彼が起きてしまい、そのまま帰るはめに。

◆あの“背中の違和感”が気になって仕方ない

 一緒に夜を過ごして、さらに彼は根岸さんへの愛が深まった様子。けれど根岸さんは、そのときの違和感が気になって仕方なく、彼と会っていてもなんとなく上の空になっていたそう。

あの“背中の違和感”が気になって仕方ない
「まさか本人に『背中がゾワっとするけど何?』とは聞けないですよね。だけど感じたことのないあの違和感のことが頭をよぎって仕方ないんです。確かめるには、もう一度ベッドインするのが一番手っ取り早いのですが、真実を知るのも怖くて…」

 得体のしれないものというのは、知るのが怖いことがありますよね。けれど勇敢にも根岸さんは再び彼の家に遊びに行き、真実を知ることにしたそうです。

 また彼の家で一緒にご飯を食べ、夜を過ごし、朝を迎え…寝ている彼の背中をそっと覗きこんだ根岸さん。そこには驚きの事実がありました。

◆勇気を出して真実を!目にしたのは衝撃の…

「彼の背中には、見たことがないようなもじゃもじゃの毛がビッシリ生えていたんです! そのほかの場所は、体毛が濃いわけではないので、さらに驚きました。こればかりは誰のせいでもなく、仕方がないことなのですが、わたし的には受け付けないようなモジャモジャ具合でした…」

 まさかの“背中の毛が剛毛”だった彼。手触りでなんとなく察してはいたものの、実際目にすると、それを受け入れるには苦しいくらいのものだったようです。

◆彼には言えず、でも受け入れられず、悩む日々

彼には言えず、でも受け入れられず、悩む日々
「本当に申し訳ないのですが、あの背中を見て以来、どうしても生理的に受け付けられなくなってしまって。でもその理由も本人には絶対に言えないですよね。会えばまたあの背中と触れ合うことになる、と思うと、なんとなく避けるようになってしまいました」

 結局そのままうやむやになり、2人の関係はフェイドアウトしてしまいました。けれど、あの触感は今でも忘れられないそうです。

◆1年後、新しい彼女ができていた

「後日、1年ぶりくらいに彼と連絡を取る機会がありました。その後どうしているか聞くと、なんと新しい彼女ができたそう。出会ってまだ1か月だそうですが、わたしにアプローチしていたときのあの熱っぽさで、いまの彼女への愛を熱く語ってました。もしかして彼は惚れっぽいのかもしれませんね。そして何より、今の彼女とは“背中の毛問題”は起こっていないようでホッとしました」

 体毛の濃い薄いは人それぞれ、そして好みも人それぞれ。それも含めて“好み”ですね。

―シリーズ「冬の恋愛、悲喜こもごも」―

<文/塩辛いか乃 イラスト/朝倉千夏>

【塩辛いか乃】

世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako